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警察すら動かない「日本の沈黙」が助長させた...「堕ちた帝国」の進むべき道とは?

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月11日 14時0分

奥山が1989年の映画『226』にジャニーズ事務所を退所した俳優の本木雅弘を起用しようとすると、メリーから電話があり、再考を促された。奥山はそれでも本木を起用したが、それ以降、ジャニーズ事務所からは「出禁的待遇」になった。

35年前の話。「226」ジャニーズをやめたばかりの本木雅弘をキャスティング。メリー喜多川さんより「よく考えて」と。「ダメならハッキリそう言ってください」と返事。「ダメとは言わない、もう一度よく考えて」と。熟考して魅力を感じての配役、本木で決行。あれ以来ジャニーズ事務所、出禁的待遇。— 奥山和由 Okuyama Kazuyoshi (@teamokuyama2017) August 29, 2023

喜多川の性的虐待が報道され始めて以降、日本の音楽業界関係者は(依然として匿名だが)この問題について強い思いを私に語るようになった。

そうした業界関係者の見方はもっぱら、事務所が喜多川の性的虐待を隠蔽してきた可能性が高いというものだ。

しかし、日本社会で権力を握っている人たちの協力がなければ、隠蔽は不可能だっただろう。「日本のメディアは報道する義務を怠ってきた......沈黙し続けた。そうやって、ほかのあらゆる罪が犯される土壌をつくった」と、ある業界幹部は言う。

9月7日にジャニーズ事務所が行った記者会見には多くの報道陣が詰めかけた KIM KYUNG-HOONーREUTERS

私も全く同感だ。そして、この点は日本のメディア全般の問題点を象徴しているように思える。

この業界幹部は、国際NGO「国境なき記者団」の2022年版「報道の自由度ランキング」で日本が71位だった(23年は68位)ことにショックを受けたと述べたが、私に言わせれば71位でも高すぎるくらいだ。

「なぜメディアが沈黙していたのか、誰の命令で沈黙していたのかについて、政府が調査すべきだ」と、ある音楽業界幹部は言う。この人物は、権力層が共謀して、力のある人たちが守られるようにしているのではないかと示唆する。

この音楽業界幹部は、喜多川の問題とは別に、性的暴行事件の刑事捜査が中止されたケースがあったことに言及した。例えば、週刊新潮の報道によると、ジャーナリストである伊藤詩織に対する性的暴行事件の捜査は、中村格警視庁刑事部長(当時)の指示によって打ち切られた。

過ちを繰り返さないため

日本では最近、性犯罪に対する罰則が厳格化されたが、それで十分かは疑わしい。

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