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欧米に傾斜しすぎる日本、グローバルサウス争奪戦に参加せよ

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月14日 17時14分

グローバルサウスの中心は中国、インド、ブラジル(及びロシア)だ。彼らはBRICsの枠組みを拡大することで、欧米抜きで自分たちの影響力を強めている。8月に南アフリカのヨハネスブルクで開催された第15回BRICS首脳会議のテーマは「BRICSとアフリカ-相互協力による成長、持続可能な開発、包括的な多国間主義のためのパートナーシップ」であった。同枠組みへの参加国は拡大する見通しであり、既に約20か国が公式に加盟申請し、さらに20か国以上が参加に関心を示している。

また、中国はサウジアラビア及びイランの手打ちを仲介して中東地域でのプレゼンスを伸ばしつつある。これは米国の中東に対するプレゼンスが相対的に低下していることの裏返しだ。(まして、安倍首相のイラン訪問中にタンカーが襲撃された日本外交とは大違いだ。) フランスの影響力が減退しているアフリカ諸国ではイスラム系テロリストに対抗するためにロシアを頼りにする向きも少なくない。欧米諸国の軍事支援は限定的である上、ロシアが支援の条件としてリベラルな価値観を押し付けないことは極めて重要な要素となっている。

インドにおいて開催されたG20の裏側で、2023年9月10日よりロシアのウラジオストクで東方経済フォーラムが開始された。ウクライナ侵攻で疲弊した大陸国家のロシアの国際会議にすら中国や北朝鮮やベラルーシといった国だけでなく、インド、ベトナム、カザフスタン、ラオス、ミャンマー、シンガポール、フィリピンといった国々が参加しているのが実態だ。今後、この国際会議にも参加国が戻ることはあっても減ることはないだろう。

日本の外交政策の誤解と修正の必要性

日本は欧米から見れば遠く離れた極東アジアの地にある異国に過ぎない。しかし、当の本人たちは自分たちが対等の立場の一員として扱われていると錯覚している。 特に岸田政権の外交政策の勘違いぶりは、日本の対グローバルサウス外交の強みを決定的に傷つけている。

具体例を挙げるなら、ODA大綱に2023年度に追加された『ジェンダー主流化を含むインクルーシブな社会促進・公正性の確保』の原則」が含まれたことが挙げられる。バイデン政権、欧州各国、人権団体は首肯するかもしれないが、その原則追加について援助対象国が本音で求めているかは疑問だ。日本の対外的な援助が欧米リベラル風に変化して、それを喜ぶ援助対象国など本当にあるのだろうか。表面上の援助歓迎姿勢と実際の本音の差が著しいように感じる。

欧米のリベラルイデオロギーを全面に受容した外交を展開しても、欧米もグローバルサウスも日本を真の友人として受け入れることはないだろう。日本外交は日本人としての知恵を絞ったものに一皮むける必要がある。




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