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ブラック・ライヴズ・マター運動と映画の交差: ケネス・チェンバレン事件の衝撃的な再現

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月15日 12時43分

そして、ケネスが警官の用件を理解し、誤作動だったと伝える頃には、上司からパークスに直接確かめるようにという指示が出てしまっている。警官たちは身分照会によって、ケネスに妄想傾向の双極性障害という診断結果が出ていることを確認する。

そこでロッシは、ドアを叩けば動揺するので、障害があるなら待つべきだと提案するが、犯罪の温床になっている地域の現実を知らない新米の発言として無視される。ケネスはロッシが最初にノックした時点でも、衝撃を受けていたが、偏見を露わにするジャクソンは、拳銃の台尻でドアを激しく叩きつづける。ケネスのなかには、以前の警官の嫌がらせや海兵隊の訓練の記憶がよみがえり、妄想にとらわれていく。

そんなやりとりの分岐点になるのは、ケネスがドアガードをかけたまま、ドアを少し開く場面だろう。彼は、通信装置を通してオペレーターに警官たちを説得してもらうためにそうするのだが、パークスはもはや聞く耳を持たず、何とかこじ開けようとする。そして、再びドアが閉じられたとき、パークスはそれを屈辱ととらえ、我慢の限界に達する。

彼は応援を要請し、ドアを破壊する決断を下す。すでに階段下には、ケネスの姪や住人たちが集まり、事態を目撃しているが、誰も警官たちを止めることはできない。

ミデル監督は、小さな認識のずれが偏見に満ちたカオスに変貌する過程を生々しく描き出している。

『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』
9月15日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開
(C)2020 KC Productions, LLC. All Rights Reserved

《参照記事》●"TNC Interview 2021 : David Midell"| The New Current (https://www.thenewcurrent.co.uk/)

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