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共産党支配に苦しんだ国のはずなのに...スロバキアで体感した「親ロシア」の謎

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月12日 12時40分

重要なのは、これらが重大な要塞の数々だったのに、イギリス史上最も恥ずべき瞬間の一つである1938年のミュンヘン協定によって、その重要性が失われてしまったことだ。ヒトラーのドイツ(既にオーストリアを併合していた)はチェコスロバキアのいわゆる「ズデーテン地方」をドイツに割譲するよう求めていた。多くのドイツ系が居住していた地域だ。

戦争を回避するために、イギリスのネビル・チェンバレン首相は「協定」を交渉し、そのなかでチェコスロバキアはこの領土を割譲するよう強いられ、そのうえ戦わずして国境地帯の要塞を全て放棄しなければならなくなった。

その翌年、当然ながらヒトラーは無防備になったチェコスロバキアの残りの地域に軍を向かわせ、征服した。事実上イギリスは、ドイツとの戦争を回避しようとの無駄な努力によってチェコスロバキアの主権を売り渡したことになる。

 

明らかに、今のスロバキアにおける親ロシア政治には、歴史的背景以上の理由がある(LGBTの権利や移民問題など、ある種の「リベラルな価値観」への反発もあるだろう)。

でも僕は、イギリスが自らの保身のためチェコスロバキアをヒトラーに売り渡し、ロシアが大きな犠牲を払ってヒトラーを追い出したと考えるのは理にかなっていると思う。だから「西側は善、東側は悪」という単純な物語は、スロバキア市民にとっては必ずしもそう単純ではないのだ。

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