1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

世界一幸福な国は2035年カーボンニュートラル達成へまい進 社会変革を目指すフィンランドのスタートアップ企業

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月16日 17時20分

同社を代表するデザインとして有名なウニッコ柄(ケシの花)のシリーズ(ジャケット、パンツ、バッグ)は、デニムのような素材感。環境に優しい秘密は、クモの糸にヒントを得た繊維「スピンノヴァ」だ。布の成分は約 20% がスピンノヴァで、残りはコットン(大部分がオーガニックコットン)。

手前左の短い繊維が「SPINNOVA」。非常に柔らかい。中央は糸、右は布にした状態。背後は繊維の原料。今秋完成した初の工場(画像©SPINNOVA)で、持続可能な方法で栽培されたユーカリの木の繊維からSPINNOVA繊維を製造する。

スピンノヴァ繊維の原料は木材、農業廃棄物、繊維くず、皮革のくずなど。材料別に製造工場を建設するという。製造において、有害な化学物質は一切使用しない。従来の綿と比較して、水の消費量は99.5%削減され、CO₂排出量は74%少ないという。

スピンノヴァは100%生分解性で、マイクロプラスチックも出さない。数回にわたって100%リサイクルでき、品質は損なわれないという。

スピンノヴァ社の設立は2015年。当時すでに、世界の繊維生産の需要は高まる一方で、土地不足と水の減少により、綿の供給が大幅に減少していくと予想されていたという。同社は、綿ではない、木材のような再生可能な原料と、環境負荷を最小限に抑えた繊維製造法を広げていく必要があると考え、何年もかかって新技術を開発した。

Infinited Fiber社のペトリ・アラヴァCEO。ショールームには「INFINNA」繊維を使用した商品が展示されていた。

インフィニッティッド・ファイバー社の繊維「インフィンナ」を使った衣類も、高品質なことは見てわかる。肌触りもとてもいい。同社のショールームにはカジュアルウェアからドレスまで、インフィンナ繊維を使用したファッションブランドの商品がずらりと並んでいた。トミー ヒルフィガー、アディダス、ラングラー、H&M、ZARAといった、よく知られているブランドだ。インフィンナを購入する契約を数年分交わしているブランドもあるという。購入するだけでなく、同社に投資するブランドもあるそうだ。

インフィンナは、消費者やリサイクル処理業者からの古着、繊維くずから生まれる新しい繊維。化学処理を施すが、有害な化学薬品ではない。

EUは他国への古着の寄付を禁じる予定で、将来はEU内で処理することが必要になる。インフィンナの需要が高まることは間違いない。同社は現在、大規模な工場をフィンランドに建設中。10年以内に工場を増やし、古着の廃棄問題に立ち向かっていく。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください