1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

猫はどこからやってきた?「愛すべきネコ君」と人間との共同生活の不思議な歴史に迫る

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月13日 19時47分

北アフリカ原産のリビアヤマネコ ECOPRINT/SHUTTERSTOCK

人類の文明が始まったのは約1万年前で、場所は北アフリカから中東のトルコ、シリア、イラク、イランに至る「肥沃な三日月地帯」だった。

人が定住して集落を形成し、作物を育てるようになった時期だ。この地域には、もともとネコ科の小動物がたくさんいた。カラカルやサーバル、ジャングルキャットやスナネコなどだ。

しかし人間の集落に入り込み、人間と共存できるようになったのはアフリカヤマネコだけだった。

アフリカヤマネコは、ネコ科の動物にしては最高にフレンドリーだ。うまく育てれば、野生種でも愛すべき「友達」になれる。ちなみにアフリカヤマネコの近縁であるヨーロッパヤマネコは、どんなに愛情を持って接しても意地悪に育つ。

こうした特徴を考慮すれば、何が起きたのかは容易に想像がつく。まずは人類が定住し、農耕生活を始めた。

そして不作の年に備えて、作物の余剰分を蓄えるようになった。するとその貯蔵庫に、固い穀類を好む齧歯(げっし)類の動物(その代表格がネズミ)がすみ着き、猛烈な勢いで繁殖し始めた。

ネズミが増えればネコの出番だ。人間に対する警戒心の薄いアフリカヤマネコは集落に侵入し、ネズミを食べまくった。

それを見て、人はネコが役に立つと知った。だから丁重に扱い、たぶん寝床や食べ物も用意したのだろう。すると最も大胆なヤマネコは人の住居に入り込み、そこで、まあ、人になでられることも受け入れた。イエネコの誕生である。

家畜化がどこで、どのように起きたかは分からない。

しかし墳墓に描かれた絵や彫刻からは、少なくとも3500年前のエジプトにイエネコがいたことが分かる。遺伝子(エジプトにはネコのミイラがあり、DNAが採取されている)の解析や考古学的資料をたどれば、その移動経路も推定できる。

北アフリカから北上してヨーロッパ大陸へ渡る一方、アフリカ大陸を南下し、さらに東進してアジアに入った。北欧から来た海賊がネコの居住地拡大に一役買ったことも分かっている。

エジプトで発掘されたネコのミイラ。採取したDNAの解析で移動経路が解明できた PHOTO12ーUNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

現在のイエネコには、野生種にはない色や模様、毛質が見られる。マンチカンの短い脚、シャム猫の細長い顔、ペルシャ猫のつぶれた鼻などの身体的特徴もある。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください