なぜアメリカは今、ウクライナのために「敗戦」を望むか
ニューズウィーク日本版 / 2023年11月28日 18時48分
ロシアに対する不信感が、依然として大きな問題として立ちはだかる。「ロシアはこれまで一度も約束を守ったことがない」とスチューパクは言う。「どうやってロシアに約束を守らせるのか」
あからさまな侵略行為や領土占領を行ったロシアが何の罰も受けずに逃げおおせることになれば、「世界に向けて、法の秩序や国家主権を否定するメッセージを発信することにもなる」。
政治環境はロシアに有利?
だがロシアも既に戦略的に大きな敗北を喫していると、カプチャンは言う。「プーチンはウクライナで負けた。私たちはそれを知っている。彼はよくても、ウクライナの領土の一部とという『残念賞』を手にするだけだ」
ハースもカプチャンも、7月に行われたロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との極秘会談に出席していたと報じられている。「現時点では、ロシアは事態は政治的に自分たちに有利な方向に進んでいるという前提で議論を行っていると思う」とハースは述べた。
ロシアはアメリカの世論調査を見て、ポピュリズムが高まりつつあることを知っている。プーチンの戦略は詰まるところ、一年後の米大統領戦でドナルド・トランプが勝利するかどうかを見届けることなのだろう、とハースは言う。
カプチャンは、ウクライナと西側諸国はプーチンのように「長期戦略」を考えるべきだとして、次のように指摘した。
「戦争を終わらせ、ウクライナを再び繁栄への軌道に乗せ、プーチンが退陣するのを待って、ロシアが和平交渉でウクライナに領土を返還する日が訪れることを期待する」のだ。
「その結末が現実的かといえば、今はそうではない。だがジュネーブで米ソ首脳会談が行われた1985年当時、エストニア、リトアニア、ラトビアが独立した民主主義国家となりNATOに加盟することを、誰が信じただろうか」
「プーチンはウクライナや西側諸国をめぐる情勢が、いずれ自分にとって都合のいい方向に変わるのを辛抱強く待っていると言われている。だがそのテーブルを回転させるべきだと私は思う。辛抱強さでプーチンに勝つべきなのだ」
デービッド・ブレナン
この記事に関連するニュース
-
ウクライナ、大国依存から「自ら汗かく」外交への脱却 松田邦紀大使インタビュー
産経ニュース / 2024年6月30日 9時0分
-
ウクライナ平和サミット開幕、共同宣言草案でロシアの戦争非難
ロイター / 2024年6月16日 11時2分
-
プーチン氏、ウクライナに「最後通告」 NATO加盟撤回や4州割譲要求
ロイター / 2024年6月15日 1時19分
-
ロシアが核使わないとの想定は誤りとプーチン氏、外国メディアと対話
ロイター / 2024年6月6日 7時34分
-
アメリカ兵器でのロシア領内攻撃容認、プーチンの「最大最後の一線」を越えた?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月5日 19時35分
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください