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「アメリカ人よりアメリカ的」...大谷翔平の「後払い契約」にみんな惚れてしまった理由とは?

ニューズウィーク日本版 / 2023年12月18日 14時7分

「神」への逆張りは禁物

前所属のロサンゼルス・エンゼルスは、負けを嘆いたり悲しんだりするレベルのチームではなかった。

それが近年で最も圧倒的な強豪チームに移籍したというのに、ネットの話題をさらった今回の契約に対する世間の最初の反応は、チームの財政状況に配慮して報酬後払い方式を選択したことへの賛辞だった。

NBAのレブロン・ジェームズが「スーパーチーム」のマイアミ・ヒートに移籍したときは、マイアミ以外の全米ほぼ全てから猛バッシングを受けた。

要するに「そんなことをしてまでタイトルが欲しいのか」という批判だったが、大谷に関してはこの手の意見はあまり聞こえてこない。

ただし、今回の契約は恐ろしく大がかりな「手品」でもある。大谷は、けがでシーズン終盤を棒に振った選手と巨額契約を結ぶリスクを目の前から消してみせた。

実際、桁外れの契約を正当化する論拠の柱は次のようなものだ──大谷は投打の両方で殿堂入りレベルの選手。つまり、2人の殿堂入り選手と同等なのだから、誰かの2倍の金額で契約する価値がある。

問題は右肘の大手術を受けたばかりなので、2024年シーズンは登板しない可能性が高いことだ。けがの深刻さを考えると、大谷は投手としてこれまでと同様には投げられない可能性もかなりある。

ニューヨーク・メッツは毎年7月1日を「ボビー・ボニーヤの日」と呼んで嘆く。メッツは数十年前のこの日、ボニーヤに毎年100万ドル以上を支払う契約を結んでしまったからだ。

ボニーヤは別世界の才能の持ち主だったが、メッツにタイトルをもたらすことはなく、輝かしいはずのキャリアをけがで傷つけた。

もし大谷がタイトルと歴史に残る好成績を手にできなければ、ドジャースは10~20年後に「大谷翔平の日」を嘆くことになるかもしれない。

それでも、このリスクについての話は誰にとっても二の次だ。何より大谷は、アメリカ人が愛するものの体現者でもある。

創意工夫、「勝者」であろうとする強い決意、そしてとてつもなく巨大な野心。ある野球解説者は、「アメリカ人よりアメリカ的」な最初の日本人選手と呼んだ。

大谷は目にも留まらぬ豪速球を投げ込み、とんでもなく大きなホームランを放つ。この大型契約にふさわしい活躍を望まない人間はそう多くないはずだ。

少なくとも私はアンチ大谷の側には賭けない。神に対して逆張りなど、もってのほかだ。

入団会見に臨む大谷

Dodgers' Shohei Ohtani Introduction Press Conference, live from Los Angeles/
MLB

  

サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、米ジョージタウン大学教授)


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