猫の腎臓病を治す「夢の薬」がもうすぐ実現...「体内にたまったごみ」を除去するAIM薬とは?
ニューズウィーク日本版 / 2023年12月26日 17時20分
──薬は欧米でも販売するのか。
日本のネコのために十分な量のAIM薬を確保するため、当面は日本でのみ使えるようにしたい。海外のネコも日本に来れば薬を使える環境を、認可されるまでに整備したい。
これは一種の医療インバウンドとして日本への貢献にもなるだろう。例えば高度先進医療や遺伝子診断などは他国でも受けられるが、ネコのAIM薬なら日本独自の治療を提供できる。
──人間の腎臓病薬も開発中なのか。
ネコ薬から約1年遅れで進行している。国から研究費の支援を受けており、治験薬のレシピは今年度中に完成すると思う。治験のデザインもしっかり固まっている。ただ、人間の薬はどうしてもネコ薬より治験の期間と資金がかかってしまう。
かなり進行した腎臓病患者が、透析に行かなくてもいいようにするのがゴール。ネコのデータから考えて、透析の必要性は著しく低下するはずだ。そうなれば患者の負担も医療費も大きく減らせる。
AIMが排出を促す「体内にたまったごみ」には、脳に蓄積してアルツハイマー型認知症を引き起こすタンパク質「アミロイドβ」もある。認知症の薬も開発したいが、脳血流関門があるため現状では脳にAIMを届けられない。それを可能にする仕組みを考えているところだ。
──人間の場合も副作用はない?
人間には人間のAIMを使うし、「ごみ取り」に使われなかったAIMは尿に出てしまうから体内に余分なものが残らない。そういう意味では副作用が起こる余地はない。
30年前、私が研修医だった頃に治らなかった病気はいまだに治ってない。腎臓病も、膠原病も、認知症もそうだ。それを自分たちの手で一つずつ治していきたいと思う。
「夢の治療薬」開発の裏側(AIM医学研究所の宮﨑徹所長)
「1分1秒でも一緒にいたい...」余命2週間の「猫」が1年以上生き続けた?"夢の治療薬"開発の裏側【ゲキ推しさん】/TBS NEWS DIG Powered by JNN
大橋希(本誌記者)
この記事に関連するニュース
-
韓国の犬・猫糖尿病・肥満治療薬の開発企業…「高い潜在力」のペット市場で存在感
KOREA WAVE / 2024年7月20日 11時0分
-
「痩せやすくなるタンパク質」発見 将来は食事制限なしの肥満治療も可能に【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月19日 21時14分
-
大人気の2型糖尿病の飲み薬が引き起こす性感染症リスク 心血管イベントや死亡率は減少するが…
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月18日 9時26分
-
「長生きする猫の特徴」が最新研究で解明…マタタビには“意外なメリット”が明らかに
女子SPA! / 2024年7月15日 8時45分
-
再発・進行頭頸部がん患者を対象としたiPS-NKT細胞動注療法に関する第I相医師主導治験が完了しました
PR TIMES / 2024年7月5日 16時45分
ランキング
-
1バイデン氏の撤退決断、米主要紙が評価 「勇気ある選択」「米国の最良の利益」
産経ニュース / 2024年7月22日 19時34分
-
2米国初の女性・アジア系大統領を目指すハリス氏、手腕には厳しい評価も
産経ニュース / 2024年7月22日 19時11分
-
3北朝鮮エリートの脱北ラッシュ、なぜ外交官なのか…海外生活で「目覚めた」
KOREA WAVE / 2024年7月22日 16時30分
-
4バイデン氏大統領選からの“撤退表明” トランプ氏「いんちきジョーは最悪の大統領」とSNS投稿
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 11時43分
-
5パリ五輪、4355人を「脅威」として排除 仏内相明かす、大会の治安対策で
産経ニュース / 2024年7月22日 11時27分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください