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追悼式典での爆破テロに「報復」を誓うイラン、戦火は中東で拡大か

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月10日 20時23分

爆破テロと同日に首都テヘランであったイラン革命防衛隊のソレイマニ元司令官の追悼式典 WANAーREUTERS

<イランの英雄ソレイマニの追悼式典で起きた爆破テロで、関与が疑われるイスラエル。最高指導者ハメネイは、今回の攻撃の背後にいる人々に「痛烈な打撃と相応の報復を与える」と宣言した>

米軍に暗殺されたイラン革命防衛隊の精鋭部隊クッズ部隊の元司令官、ガセム・ソレイマニの4回目の命日に当たる1月3日、イラン南東部ケルマンにある墓近くで爆発が起き、80人を超える死者が出た。

この爆破テロに、イラン政府は激しい怒りを表し、報復を誓っている。

「シオニスト政権とその傀儡のテロ組織は殉教者ソレイマニ(の影響力)を恐れるあまり、彼の追悼式で新たな罪を犯した」と、犯行当日に国連のイラン代表部は声明を出した。

「このテロを企て実行した者、その他誰であれ関与し教唆した者たちに、イランは炎と怒りで報復する」

この声明を見る限り、イスラエルのパレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イランとイスラエルの緊張が危険水域に達するなか、イラン当局はケルマンで起きた爆発をイスラエルの仕業と決め付けているようだ。

イランのアミール・サイード・イラバニ国連大使は国連安全保障理事会とアントニオ・グテレス国連事務総長に宛てた書簡で、わが国は「あらゆるメカニズムを総動員して、この卑劣なテロの首謀者と加担者の法的責任を問う」と述べ、安保理に公式な非難声明を出すよう求めた。

安保理は4日、この爆発を「テロ攻撃」と断じ、「実行犯、組織、資金提供者の法的責任を問う必要がある」との非難声明を出した。

一方、過激派組織「イスラム国」(IS)も同日、この爆発に対する犯行声明を発表。

「殉教者2人が爆発物の入ったベルトをして」攻撃を行ったと述べた。

イスラエルお得意の秘密工作

地元の救急隊などの話では、ソレイマニの墓近くのモスクで行われた追悼式典の最中に周辺で立て続けに2回爆発が起き、84人の死者と280人以上の負傷者が出たという。

イラン革命防衛隊傘下のタスニム通信は、爆発は2回ともカバンに隠された遠隔操作の爆弾によるものと伝えたが、裏付けは取れていない。

ケルマンで爆破テロが起きた前日には、レバノンの首都ベイルートの南の郊外で起きた爆発でイスラエルと戦っているイスラム組織ハマスの政治部門のナンバー2であるサレハ・アルーリが死亡した。

ハマスと協力関係にあるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラやイランはこの攻撃もイスラエルの仕業とみているが、イスラエルは関与を認めず、否定もしていない。

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