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2024年世界選挙の年、世界のあり方が変わるかもしれない

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月10日 17時25分

もっとも注目を集めているのはアメリカの選挙だ。その結果で台湾、ウクライナ、イスラエルとパレスチナの問題などへの対処ががらりと変わる可能性がある。たとえばトランプが大統領になればウクライナへのアメリカの関与は大きく後退するだろう。逆にトランプが候補になって負けた場合、アメリカ国内で暴動が発生し、混乱に陥ることも予想される。

全体としては権威主義化が進む可能性が高く、EUとアメリカの選挙結果で世界全体の今後が左右されることになる。中露伊(中国、ロシア、イラン)は権威主義への移行を加速するためにさまざまな工作をおこなってくる。ロシアがウクライナとの戦争の一環としてアメリカ選挙への干渉を考えているのはほぼ確実で、中国は台湾併合の準備とそれぞれの思惑がある。

読者の多くは民主主義の後退を食い止めたいと願っていると思うが、そうではない人々が多いのも確かだ。民主主義そのものを支持していても、現在の民主主義は正しく機能していないと考える人もいる。非民主主義的な人々、現状の民主主義を否定する人々、いずれも現状を支持しない。

SNSプラットフォームを始めとするビッグテック各社は、自社への規制を厳しくしている民主主義はいずれ後退すると予想して、見せかけの協力(ファクトチェックやリテラシー教育の支援、透明性向上など)で時間を稼いで状況が変わるのを待っている。

予想される脅威

2024年の一連の選挙には中露伊の干渉を始めとして、さまざまな脅威が想定される。

2024年の選挙で予想される脅威はいくつかあり、攻撃主体は前述の中露伊に加えて白人至上主義グループ、陰謀論者、極右などの反主流派がある。白人至上主義グループはRMVEs(Racially or Ethnically Motivated Violent Extremists)と呼ばれることもある。これらのグループは、以前の記事で紹介したように重複している。最近公開されたInstitute for Strategic Dialogue(ISD)のレポートでグループの重複は確認されている。これらの反主流派は実態として参加者は重複しており、状況に応じて異なる主張のグループに変わる。

現在の反主流派で目立っているのは白人至上主義グループだ。その中心はホワイトナショナリズム3.0を標榜するActive Club(詳しくは拙ブログ)である。全米34の州で50近くのActive Clubの存在が確認されている。カナダでは12のActive Clubがあり、ヨーロッパには4カ国に46のActive Clubがある。これらは小規模で分散化し、全体像をつかめないものになっている。定期的にMMA(総合格闘技)の大会を開催し、御用達のファッションブランドや音楽レーベルがビジネス化されている。もちろん、武装化し、LGBTの集会を襲撃したり、反移民活動などもおこなっている。反主流派は今回のアメリカの選挙にも介入することが予想され、選挙管理関係者への脅迫や暴行などをおこなう懸念がある。それ以外の国でも白人至上主義グループ、陰謀論者、極右などの反主流派が騒ぎを起こす可能性もある。

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