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2024年世界選挙の年、世界のあり方が変わるかもしれない

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月10日 17時25分

サイバー空間での影響工作について中露伊および反主流派はその手口(TTPs)が類似してきており、連携して攻撃をおこなうことも増えてきている。

共通して見られる特徴のひとつは活動の中心を大手SNSではなく、Telegramなどのメッセンジャーや小規模SNSに移行し、そこから大手SNSと連動するようになってきていることだ。昔からあるボットやトロールなどを使っての拡散もあるが、すでに多くの国には中露伊および反主流派の流すナラティブに同調する人々が存在し、勝手に大手SNSに転載して拡散してくれる。これらの人々は前述の非民主主義的な人々、現状の民主主義を否定する人々あるいはRMVEsなどの反主流派だったり、あるいはリベラルな思想の持ち主だったりと多様である。たとえば福島の処理水の問題では日本国内の一部メディアや識者と中国由来のナラティブは同じく処理水放出反対を主張していた。中露伊および反主流派は人々が同調しやすいナラティブをうまく使う。

そして中露伊および反主流派は相互に拡散し、連携するようになっている。

たとえば、アメリカの2022年中間選挙では中露伊は本物のアメリカ人が発信したナラティブを中露が拡散していたことがアメリカ国家情報会議(National Intelligence Council)の「Foreign Threats to the 2022 US Elections」(2023年12月11日に機密扱い解除)で確認されている。銃規制や中絶などアメリカ国内世論を分断させるナラティブがよく利用される。時には敵対する両方を煽ることもある。

イランは左派やリベラルなナラティブを利用していたことがわかっている。たとえばイランにとっては、親パレスチナ言説は都合がよいので本物のリベラルなアメリカ人の発言を拡散することで、自国に都合のよい言説を広めつつ、社会の分断を広げることができる。逆にロシアは保守的なアメリカ人を煽っていた。

表中のいくつかの項目について補足の説明をしておきたい。
なにかにつけて話題になりがちなサイバー攻撃はおこなわれるが、すでにその優先度は低くなっている。中露伊にとって影響工作の方がリスク少なく、効果をあげられることがわかってきたからである。

「インフォメーション・ロンダリング」は最近よく使われている手法であり、日本でも身近だ。たとえば新華社は世界100以上の国や地域と協力協定を結び、20を超える多国間組織と提携するなど、世界のメディアに情報発信できる体制を整えている。たとえば、日本ではAFPBBのサイトを見ると、パートナーメディアとして中国系メディアがずらりとならんでいる。処理水問題では中国系メディアの情報をヤフーニュースに配信していた。こうしたことが世界中で起きている。

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