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ジャニーズ問題は「氷山の一角」...いまだ日本の会社内で見て見ぬふりされる「時代遅れの価値観」はこんなに

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月11日 19時28分

厚生労働省が20年に実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、パワハラやセクハラを経験した後、誰にも相談しなかった人は35%を超えた。また、勤務先に通報しても、「特に何もしてくれなかった」と答えた人はパワハラで47%に上った。

日本型組織に関する資料として一橋大学の小野が挙げるのが、太平洋戦争時の日本軍の敗因を分析した『失敗の本質』(中公文庫)だ。6人の学者からなる著者チームは、極めて均質で閉鎖的な軍上層部の決定が、日本軍という巨大組織を間違った方向に率いてしまったことを論じている。

なまじ緒戦で勝利を上げたために日本軍上層部は、その後さまざまな戦線で敗北を喫しても戦略を見直そうとしなかった。また陸・海・空という組織がそれぞれ縦割りで「サイロ化」しており、横断的な情報共有がなかった。

これとは対照的に、米軍の海兵隊は陸・海・空の三部隊を融合した組織であり、前線と司令部が活発に意思疎通を図り、実力主義に基づく昇進を奨励し、戦略を適宜見直した。とりわけ真珠湾攻撃で戦艦の大きな損失を被ったことが、空母と戦闘機を中心とする組織の再編を促した。日本海軍は、こうした米軍の戦術のシフトに対応できなかった。

専門家は、日本型組織の行動を変えるため、トップと従業員の意識のギャップを解決する必要があると指摘する。いわゆる「空気を読む組織」になるのではなく、お互いに正直なフィードバックを頻繁にやりとりすることが重要だというのだ。

『失敗の本質』の著者の1人で、世界的に有名な経営学者である野中郁次郎は、日本企業の組織構造には情報の冗長性が組み込まれていると指摘する。「組織全体やその活動に関する情報」が、組織のメンバー間に「意図的に重複共有」されていたというのだ。

このため複数のチームが同一プロジェクトに取り組み、組織内で競争と知識創造が促された。人材は戦略的ローテーションにより数十年かけて育成され、ノウハウが集団的に蓄積され、そのおかげで世界に冠たる技術と成長を実現できた。

だが今、人口動態の変化と人々の考え方の変化は、従来の日本型組織の在り方に変化を迫っている。

資料:リクルートワークス研究所



ジェヨブ・S・クァック(韓国在住ジャーナリスト)


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