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北朝鮮脱北の危険な道!『ビヨンド・ユートピア 脱北』が描く衝撃の旅

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月11日 18時52分

なかでもベトナム以後の展開において意味を持つのが、北朝鮮の人々に幼い頃から植え付けられてきたアメリカ人に対する激しい敵意や恐怖だろう。一家にギャヴィンとクルーが合流すということは、彼らがアメリカ人と対面することでもある。ギャヴィンは、80年以上も閉ざされた世界で抑圧されてきた祖母が、自分をどのように受け止めるのかに関心を持っている。

心の軌跡:脱北者と映画制作者の間の変化

そんな視点は、ギャヴィンが監督した『シティ・オブ・ジョイ〜』とも無関係ではない。コンゴ民主共和国東部では、家族やコミュニティを破壊し、地域を支配するための武器として、性暴力が組織的に行われてきた。ギャヴィンは、そんな性暴力によって肉体的にも精神的にも深い傷を負った女性たちが、現実を受け入れ、自己を肯定していく姿を描き出している。

本作で脱北者の一行は、ベトナムにある隠れ家で休息し、夜にジャングルを通って国境を越え、ラオスにある隠れ家で再び休息をとるが、その間に、祖母とギャヴィンの間の距離は変化しているように見える。

ベトナムの隠れ家では、撮影クルーは一定の距離を置いて一家をとらえている。しかし、ラオスの隠れ家では、祖母がカメラの前でインタビューを受ける。彼女はアメリカ人のことにも触れ、これまで信じてきたことと逆のことが、目の前で起きていることに戸惑いながらも、現実を受け入れつつあるように見える。

ギャヴィンは、貴重な映像を使って緊張に満ちた脱北のプロセスをひとつにまとめ上げるだけでなく、精神的な呪縛と解放も細やかに描き出している。

『ビヨンド・ユートピア 脱北』 
1月12日(金)公開:(C) TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved

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