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もう車が買えなくなったアメリカ人──年収10万ドルの壁

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月16日 16時35分

自動車情報サイト「エドマンズ」のアナリストであるジョセフ・ユンは本誌に対して、「平たく言えば、車が以前よりも高くなっているということだ」と述べ、さらにこう指摘した。「2019年11月には、新車の平均取引価格は3万8500ドルだったが、2023年11月にはこれが4万7939ドルに跳ね上がっている」

パンデミックでサプライチェーンが混乱し生産が遅れ、2021年には消費者の需要も急拡大したことで、自動車の在庫が逼迫し価格が大幅に高騰したと自動車情報サイト「エドマンズ」のアナリストであるジョセフ・ユンは言う。

「当時は、車を購入したい人々がディーラーに行列していたが、それでも車を手に入れることができなかった。一方メーカーは、利幅の大きい、高級な車の製造を優先した。そのせいでまたさらに価格が高騰した」

より大型で高級な車が好まれる傾向も

だがアメリカにもはや手頃な価格の自動車が存在しないように見える理由は、パンデミック関連の混乱以外にもある。その一つが、各自動車メーカーが2万ドル以下で買えるより小型で安価な車の生産量を減らし、SUVやトラックなどより高額な車の生産に重点を置くようになっていることだ。

「各メーカーは、より小型で手頃な価格の車を外す主な理由として、売れ行きが芳しくなかったことを挙げている」とユンは言う。「過去10年ぐらいで消費者の嗜好も大幅に変化した。より大型のSUVなどが好まれるようになり、カメラやセンサー、レーダーや大型画面などを求める傾向が強まっている」

残念ながら、これらの装備は高くつく。何百万人ものアメリカ人の平均年収さえ大幅に上回ってしまうだろう。

ジュリア・カルボナーロ


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