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敗者なき結果は民衆の「迷い」か「知恵」か、頼清徳(ライ・チントー)政権誕生の台湾新時代を読み解く

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月19日 17時17分

曖昧な選挙結果は中国を抑制しながら主体性を守る台湾人の知恵か(台北の自由広場を行き交う人々) VALERIA MONGELLIーHANS LUCASーREUTERS

台湾は中国にのみ込まれることなく、あくまでも台湾として生きていきたい──その気持ちは揺るがず、生活スタイルも政治思想も自由と民主の制度の下に台湾人は生きている。

だが、経済では対中依存は過去ほどではないにせよ、完全に脱却するまでには時間がかかる。

そして何より台湾統一に執念を持っている強権国家の独裁者が、隣国でにらみを利かせている。

一方、国内を見れば、空前の半導体景気で1人当たりGDPは日本、韓国に並び、実感として台北の地価ははるかに東京よりも高くなった。

ただ平均給与や初任給はまだまだ低く、大衆には豊かになったという手応えが乏しい。

そんなまだら色の状況の中で、過去の選挙では「はっきりした決着」を好んだような判断を示してきた台湾の人々も、今回は判断を迷った末に、民進党にも国民党にも、そして民衆党にも、そしてもちろん中国にも、明確な回答を示せなかったとも感じる。

「知恵」か「迷い」か、はたまたこれが台湾に対する「天啓」なのか。今はまだ、決め付けることはやめておこう。

今後、台湾は二大政党時代から、より複雑な政治状況となる視界不良の状況に入っていく。新時代の台湾を目指す道のりはまだはるか先まで続きそうだ。

野嶋 剛(ジャーナリスト、大東文化大学教授)


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