【写真特集】青いシートが可視化した 不可視の人々
ニューズウィーク日本版 / 2024年1月23日 10時37分
――時津剛(写真家)
1976年、長崎市生まれ。東京都立大学法学部政治学科卒。都市や人、現代社会をテーマに作品制作を続けている。東京都在住。写真展に『東京自粛 COVID-19 SELF-RESTRAINT, TOKYO』(2020年、PlaceM)、『CELL』(2018年、ソニーイメージングギャラリー銀座)、『DAYS FUKUSHIMA』(2012年、銀座ニコンサロン・2013年、大阪ニコンサロン)など。ここに掲載した作品を含む新作写真集『BEHIND THE BLUE 』を今月出版。写真展を東京・新宿のニコンサロンで2月5日まで開催(日曜休館)。
Newsweek日本版 写真連載「Picture Power」2024年1月30日号 掲載
「敷地」を主張するかのように立てかけられた木の枝。小屋の周囲で野菜などを栽培する者もおり、枝や板などで外部からの侵入を防ぐ
竹やぶの中に立つ小屋。快適さを求めて高床式になっている小屋もある
多摩川大橋の下に一筋の光が差す
多摩川沿いの高層ビル群。大規模な都市開発やタワーマンションの建設が続き、 東京近郊のスカイラインは、変貌し続けている
秋田県出身の男性(73)。竹やぶの中で、ひっそりと暮らす。地元の木工関係の学校を出て上京。多摩川に住んで20年になるという。 静かな語り口が印象的だった
色とりどりの花が咲き誇る春の多摩川。付近を散策する人もいるが、ブルーシートに注意を払う人はほとんどいない
路上生活者のスーツケース。 きちょうめんさの表れなのか、教会 から譲り受けたというカップラーメ ンや衣類が丁寧に詰められていた
多摩川沿いに咲き誇る桜の下で寝そべる花見客。ブルーシートは役割を変え、レジャーで活用されていた
北海道出身の60代男性。多摩川に住み7年ほどになる。若い時から居酒屋の調理師として働いたが、社長の息子がゴルフ場開発への投資に失敗。社長が失踪し男性は失職した。住まいのテントは、河川敷で練習する野球チームの監督から譲り受けた
沖縄県出身の男性(56)。17歳で上京。食肉倉庫で働いていたが、狂牛病の流行で輸入牛が激減し、30代半ばで派遣切りに。「家族は?」 との問いに、「過去は処分した──」とつぶやく
降雨の後のひび割れた地面。洪水対策の護岸工事の影響で「いつまで住み続けられるか分からない」と不安を口にする者もいた
多摩川の河川敷には多くの野球場がある。マウンドを覆うブルーシートが強風にあらがう
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