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統治の不安と分断がもたらす政治参加

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月15日 17時0分

図4

まとめると、投票という制度の下での行動には対立の認識に大きなインパクトはないが、投票の外での政治参加には、国がまともに統治されていないと認識し、統治の不安があるようなときに対立が参加を加速する。ならば、投票外参加は分断を加速させるだけなのか、あるいは分断から抜け出すには日本の民主主義を心配して投票以外の場で政治に関わるしかないのか、よく考える必要があるだろう。

連載シリーズの終わりに

第1回目のSMPP調査では、日本で現在生じている「分断」と「対立」の社会的なリアリティを明らかにしようと試みてきた。それは米国で起きていることと同じではない。日本における分断と対立が何をもたらし、どんなインパクトを持ち得るかは、日本のデータを精査した上でしか予測も対応策の検討も出来ない。

SMPP調査は、10年をかけて(2年ごとに5回調査する)日本人の価値観を追うプロジェクトである。我々はこの調査を通じて、日本の分断の構造が何をもたらすかを追跡し、またそこでメディアが果たす機能を明瞭に議論できる基本データを提供していきたいと考えている。

■本連載の記事一覧はこちら

■SMPP調査・第1回概要

池田謙一(いけだ・けんいち) 同志社大学社会学部メディア学科教授

東京大学大学院人文社会系研究科社会心理学研究室で21年教鞭を執った後、2013年4月より現在まで同志社大学社会学部メディア学科教授。政治コミュニケーション、政治文化、政治参加に関わる国際比較調査を続けている。日本人の統治の不安に関わる英語単著を2023年に出版した。


池田謙一(同志社大学社会学部メディア学科教授)


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