メディア接触の新潮流...「ニュース回避傾向」が強い層の特徴とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月9日 17時0分
本稿では、SMPP調査から、人々のメディア接触状況とメディア利用に関連する意識を分析・検討した。主要な結果として、人々のメディア情報環境は、インターネット中心型の接触形態においても、伝統メディアへの接触を残すタイプとそうでないタイプと細分化されること、ニュース回避傾向はSNSを中心に接触し、伝統メディアへの接触率が極めて低いグループで特に高いことを確認した。
情報環境の多様化によってニュースの入手可能性は高まっているのにもかかわらず、ニュース回避傾向が見られることは、パーソナライズ化が進む情報環境において、民主主義に参加する市民の「共通の情報基盤」が失われつつあることを示唆しているのではないだろうか。このような「人々の生きているメディア環境の差異」が分断に関連するものであるのか、今後さらに検討が必要である。
■SMPP調査・第1回概要
大森翔子(おおもりしょうこ) 法政大学社会学部専任講師
1993年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。2023年度より現職。専門は政治コミュニケーション・政治行動論。著書に『メディア変革期の政治コミュニケーション』(勁草書房、2023年)。
大森翔子(法政大学社会学部専任講師)
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