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ヘッジファンドと個人投資家の緊迫の攻防! 映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月2日 16時27分

騒動の前半部では、個人投資家の支持を集めるキースの存在に加え、コロナ禍や投資アプリの影響もあって、ウォール街の巨人対個人投資家の図式が鮮明になっていく。

理想と現実の狭間 ロビンフッドのジレンマ

だが、後半では、そんな図式が揺らぐような事件が起こる。前半に描かれたロビンフッドのCEOへのインタビューは、その伏線になっているともいえる。

ロビンフッドは、この図式にどのように位置づけられるのか。ブラッドとバイジュは、"ウォール街を占拠せよ"の運動に感化され、占拠ではなく民主化したいと語る。

しかし、インタビュアーから、手数料を無料にしてどのように収益を上げているのか尋ねられると、そんな理想が怪しくなってくる。彼らは、PFOP=「注文フローに対する支払い」について語りだす。

彼らの説明は短くてわかりにくいが、いくらか付け足すと、顧客の注文はHFT(高速取引)業者に回送され、業者はコンピュータを使った高速の自動取引を繰り返して利ざやを得て、ロビンフッドにリベートを支払うということになるのだろう。さらに彼らは、その業者が主にシタデル・セキュリティーズで、ケンのヘッジファンドと同じ名前だが別会社だと語ったところで、気まずくなったように話題を変えてしまう。

疑惑の渦中 ロビンフッドとシタデルの裏取引

そんな説明が伏線となり、後半では、ロビンフッドとシタデルの不都合なつながりを疑わせるような事件が起こる。まず、ネット掲示板のフォーラムが突然、閉鎖されて、情報交換ができなくなり、個人投資家たちは混乱に陥る。

さらに、ロビンフッドのアプリでゲームストップ株の買い注文ができなくなり、パニック売りが発生する。そして、シタデルがヘッジファンドを救うために、ロビンフッドに働きかけたのではないかという疑惑が浮上する。

それはもちろん大きな問題だが、スティーブやケンという資産家から支援されたゲイブのメルビン・キャピタルを倒すために、個人投資家たちがロビンフッドのアプリでゲームストップ株を買いまくることで、ケンのシタデルはすでに収益を上げていることになる。

本作は、結束した個人投資家たちがウォール街の巨人を倒すだけの痛快な物語ではなく、ギレスピー監督は、構成や伏線によって問題の根が深いことを示唆している。

『ダム・マネー ウォール街を狙え!』
2月2日TOHOシネマズ 日比谷ほかで公開
(C)2023, BBP Antisocial, LLC. All rights reserved.

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