若者が騙され、親中カンボジアで「監禁・暴行、臓器売買・売春」事件もあった...国際法の陥穽に陥った台湾人
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月3日 18時0分
次期総統選では「第三の道」を行く民衆党が大幅に票を伸ばし、民主主義体制の一角が崩れるかもしれない。民衆党は今のところ社会福祉などを掲げているが、中国の軍事的威圧の下では親中路線に傾く可能性が十分あるからだ。
いずれにしても、台湾の若者や出稼ぎ労働者は、今後も外交関係のない国へ出かけて行かざるを得ないだろう。台湾政府の力が及ばず、主権国であるはずの中国からも保護されない彼らは、国際法の陥穽(かんせい)に陥っているのだ。
1月18日、台湾当局は日本の能登半島地震の被災者のため、市民から集められた寄付金が21億円を超えたと発表した。自腹を切ってはるばる現地まで炊き出しにやってきた台湾の人たちもいる。繊細で思いやりに溢れた台湾人の優しさが、本当に胸に染み入るようだ。
西側諸国は外交関係があってもなくても、民主主義を守ろうと奮闘する台湾の実情にもっと目を向け、世界で孤立する台湾人の救済に支援の手を差し伸べるべきではないか。
譚璐美(たん・ろみ)
ノンフィクション作家。東京生まれ、慶應義塾大学卒業、ニューヨーク在住。日中近代史を主なテーマに、国際政治、経済、文化など幅広く執筆。著書多数。最新刊は『中国「国恥地図」の謎を解く』(新潮新書)。
譚璐美(たん・ろみ、ノンフィクション作家)
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