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「アルテミス世代」の宇宙飛行士候補が受ける訓練の内容とは? 初公開されたその一部と、記者会見で2人が示した「圧倒的コミュ力」

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月15日 19時55分

もっとも、宇宙飛行士候補者に選抜されたからといって、自動的に宇宙飛行士と認められて宇宙空間で行われるミッションに参加できるわけではありません。

約20カ月の基礎訓練で宇宙飛行士の心構えや科学的、工学的な知識や技術を習得した後、審査委員会の審査を受けて合格して、はじめて宇宙飛行士として認定されます。さらに、宇宙空間での搭乗ミッションに参加するためには、その後も維持向上訓練を続け、搭乗割当の認定に必要な訓練を修める必要があります。

米田さんは昨年4月、諏訪さんは同年7月にJAXAに入りました。基礎訓練が順調に進めば、今年11月頃に2人とも宇宙飛行士に認定される予定です。

JAXAの阿部貴宏・宇宙飛行士運用グループ長によると、基礎訓練は4つの分野に大別されます。

①「JAXA宇宙飛行士に必要なJAXA業務概要や工学・宇宙機の概要等に関する知識」では、JAXAの歴史や基礎工学、日本や各国の宇宙開発プログラムを学びます。

②「軌道上で実際に操作を行うISS/「きぼう」日本実験棟のシステムの概要」では、ISS(国際宇宙ステーション)計画の枠組みや運用の概要、「きぼう」の開発プロセスや各システムの概要を学びます。

③「軌道上で実施する種々の宇宙実験に必要なサイエンス関連の知識」では、宇宙科学やライフサイエンス、材料・流体科学、地球と宇宙観測の知識を習得します。

④「宇宙飛行士に必要なスキルの習得を目的とした基礎能力訓練」では、実践的な訓練を積みます。健康管理や体力増進を目的とした運動訓練や、小型航空機の操縦、語学訓練、一般サバイバル技術の習得などを通して、宇宙飛行士として必要とされる能力を身に付けます。

JAXAで宇宙飛行士候補者の基礎訓練が行われるのは、古川聡さん、星出彰彦さん、山崎直子さんが選ばれた1999年以来、24年ぶりです。阿部グループ長によると、NASAでの訓練が中心だった前回と比べて、効率よく、できるだけ早く次のステップに進めるために、日本を訓練のベースにしたそうです。

月や火星の有人探査を想定した訓練プログラムに

また、「これまでは知識の詰め込みに注力しすぎていたのではないか」と振り返り、今回の基礎訓練は実践的なもの、実際の運用に近いものを増やしたと言います。

たとえば、ISSの「きぼう」日本実験棟の宇宙飛行士と交信する地上の管制官が受ける訓練を基礎訓練に取り入れてISSに滞在した時に体験する地上の対応をいち早く知ったり、超小型の人工衛星キットを使って実際に組み立てて各サブシステムの役割を学んだりしました。

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