「安定した会社で定年まで...」では逃げ切れない時代に...「キャリア」と本気で向き合うのに必要なこと
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月29日 17時21分
類書との違いは、個人側だけでなく組織側の視点もカバーしたこと。個人の意志やスキルだけでなく、組織の論理もわかったうえでキャリアを選択することが自律的なキャリア形成には必要です。同時に、人の可能性を活かせる組織こそが、これからの社会のデファクトになっていってほしい。そう考えて、できるだけ立体的に構造を伝えるようにしました。
『キャリアづくりの教科書』
著者:徳谷智史
出版社:NewsPicksパブリッシング
要約を読む
「キャリア3.0」時代は、いまの延長線上では逃げ切れない
大賀 個人のキャリアとの向き合い方は、どう移り変わってきたとお考えですか?
徳谷 「キャリア1.0」時代は、年功序列・終身雇用が前提で、一社に入社すると大きな流れに身を任せていられた。「キャリア2.0」では、転職が一般的になり、会社にとどまる人は昇進・昇格を、転職する人は新たな組織の山頂をめざしてきた。いずれも、これまでの延長線上で、ある程度逃げ切れました。
ところが、これからは、旅のように自ら行き先を決めて、方向性を見出し、必要な武器を身につけて歩んでいく「キャリア3.0」の時代です。これを「キャリアジャーニー」と表現しました。自分がどうありたいかを中長期的な視点で考えないといけないし、正解も一つではない、そんな、自由でもあり、見方によっては過酷ともいえる時代です。
大賀 徳谷さんは2万人のキャリアに向き合ってこられましたが、時代の変化に伴い、個人からの相談内容にも変化はあるのでしょうか?
徳谷 安定していそうな会社に勤めていても、思考停止で定年まで過ごそうとする人は劇的に減りました。「思い切って社外に出るか異動するかして、現状を変えたい」と自律的な選択をする人が増えてきたなと。
一方で、若手の方は「正解を求める思考」がますます強まっています。社会に出て正しいレールを探すものの、何を軸に考えたらいいかわからない。こうした方にこそ、キャリア選択の正解ではなく、選択のための視点や考え方を提供したいですね。
生き方のスタンダードが変化しないと、社会は変わらない
大賀 徳谷さんのお話を聞いていると、「社会のために」という使命感を強く感じます。どんなところに使命感を持っているのでしょうか?
徳谷 エッグフォワードの掲げるミッションは「いまだない価値(Egg)を創り出し、人が本来持つ可能性(Egg)を実現し合う世界を創る。」。そしてめざすビジョンは「人と世界のいまだないターニングポイントを創る。」です。これが私の使命感でもあります。
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