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いま、紹興酒が日本でブーム!(の兆し) 「女児紅」「孔乙己」知ってる?

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月29日 19時20分

タイのチョンラナン保健相はロイターとのインタビューで、娯楽目的の大麻使用を年末までに禁止する方針を示した。資料写真、2023年3月、バンコク市内の大麻ショップ(2024年 ロイター/Chalinee Thirasupa)

<紹興酒不遇の時代が終わりを告げようとしている。探求心の強い日本の酒マニアたちが「未開拓」の紹興酒に興味を持ち始めた>

昨秋、週刊文春の連載「新・家の履歴書」に取り上げられた。生まれ育った中国浙江省の紹興から北京、東京へと移り住んできた自分の半生を振り返る内容だが、冒頭で私はこう語っている。

「紹興市は、その名の通り紹興酒で有名な町......わたしも『美味しいものは小さいうちから味を覚えておけ』と、子供の頃に飲まされたものでした」

すると、何人かの読者から「紹興酒を子供に飲ませるなんて違法じゃないの?」とのご指摘があった。念のため説明しておくと、子供の頃に飲んでいたのは自家製の米酒。アルコール度数が低く、日本の甘酒に近い濁り酒だから、大丈夫(たぶん)。

わが故郷の愛すべき名産品、紹興酒は、日本でもよく知られた存在だ。だが残念ながら、ワインやウイスキー、日本酒、焼酎と比べると、銘柄まではあまり認知されていない。中国に紹興という街があることも知られていない。

しかし今、そんな不遇の時代が終わりを告げようとしている。「大ブーム」とまでは言えないが、その兆しがあるのだ。きっとブームは来る、いや来てほしい。日本人にもっと、文化の薫り漂う芳醇な紹興酒の魅力を知ってもらいたい。

BONCHAN/SHUTTERSTOCK

米などの穀物を主原料とする醸造酒を中国では「黄酒(ホアンチウ)」と呼ぶ。その代表格が紹興酒だ。紹興にある鑑湖(かんこ)という湖の水を利用し、地元産の餅米や小麦で醸造されたものだけが紹興酒と認定される。フランスのシャンパーニュ地方のスパークリングワインだけがシャンパンと呼ばれるのと同じだ。

ちなみに「老酒(ラオチウ)」は長期熟成された酒を指す言葉で、紹興酒にも10年、20年、なかには50年熟成された年代物もある。

紹興酒では甜(ティエン、甘味)、酸(スワン、酸味)、苦(クー、苦味)、鮮(シエン、うま味)、辣(ラー、辛味)、渋(スー、渋味)という6つの味のバランスが重要とされる。当然、銘柄によって味が異なり、特に甘さの違いが大きい。一般に年代が増すと味がまろやかになり、香りは濃くなる。着色のため添加物としてカラメルが使われるが、最近はカラメル不使用の紹興酒も増えている。

話を「紹興酒ブーム」に戻そう。兆しがあると言ったが、果たしてどれほどの兆しなのか。

昨年9月に発売された『黄酒入門』(誠文堂新光社、リンク先はアマゾン)の著者で、中国酒に詳しい門倉郷史さんによれば、紹興酒は昔に一度ブームがあり、新たな盛り上がりは2020年あたりからだという。その頃から中国紹興酒業界が積極的に動き始め、これまでなかったタイプの紹興酒も日本に入ってくるようになった。それに呼応するかのように、日本のメディアが紹介する機会も増えた。

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