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もう取り返しがつかない?ロシアがウクライナ侵攻で犯した5つの失策

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月27日 17時39分

だが結果として、権力闘争はプリゴジンを破滅に導いた。昨年6月、ワグネルはウクライナ国境に近いロシア南西部の基地で反乱を起こした。そしてモスクワに向けて進軍したが、手前で止まった。プリゴジンが政府と一時的に合意を結び、反乱を取りやめたのだ。

だがこの合意は、プリゴジンの破滅を少し遅らせただけだった。8月に彼を乗せたプライベートジェットはモスクワの北で墜落。アメリカの情報当局はこれが暗殺である可能性を指摘した。

プリゴジンとワグネルにクーデターを許したことと、治安当局が未然にそれを防げなかったことにより、プーチンの正統性は打撃を受けたと、海外では受け止められた。

「プーチンの弱さとプリゴジンの大胆な批判により、クレムリンは過去数十年間で最も弱体化している」と、アメリカのシンクタンク、アトランティック・カウンシルは7月、指摘した。

ゼレンスキーも同じ意見だった。「彼(プーチン)がプリゴジンを殺したという事実は、彼の理性がいかほどのものかを、そして彼がいかに弱体化しているという事実を物語っている」とゼレンスキーは9月に述べた。

■5)穴だらけの防空システム

2022年の開戦当初、ロシアはやりたい放題だった。さまざなな巡航ミサイルを地上からも海上からも空からも発射し、好きなように爆撃を行った。激しい爆撃によって、ウクライナの電力網はズタズタになった。本格的な戦争が始まって最初の冬はウクライナにとって非常に厳しいものとなった。

だが戦いが続く中、ウクライナは長距離攻撃能力の向上に努めた。その中で、先進的なはずのロシアの防空システムに「穴」があることも明らかになっていった。

ウクライナはドローン開発プログラムにかなりのリソースを投入してきた。UJ-26ビーバーやUJ-22エアボーンといった航続距離の長い自国製ドローンはウクライナ政府の自慢だ。ウクライナはまた、UJ-25スカイラインといった先進的なジェットエンジンを積んだドローンの開発・製造にも取り組んでいる。

ロシアの防空システムが機能しないことがあまりに多かったために、ロシアのインターネットでは「防空システムはは何をしている?」というフレーズがはやり言葉に。ソーシャルメディアでロシアの都市や主要インフラや軍事関連施設がドローンやミサイルの攻撃を受けて話題となるたび、この言葉は広まった。ドローンがクレムリンの敷地内に到達して爆発したこともあった。

穴だらけなのは地上の国境防衛も同じらしい。昨年夏には西部ベルゴロド州への親ウクライナ派のロシア人戦闘員による攻撃が繰り返され、ロシア政府と地元当局の面目は丸つぶれとなった。

アメリカのシンクタンク、戦争研究所は、「(親ウクライナ派の)攻撃はロシアのコメンテーターたちにとって驚きだった」と指摘した。

政治アナリストで、かつてプーチンのスピーチライターを務めたこともあるアバス・ガリャモフは、テレグラムにこう投稿した。「(ベルゴロドへの攻撃は)プーチンの軍隊は無敵だという神話を完全に破壊した」

彼はこうも付け加えた。「(プーチンの軍隊は)前進する方法が分かっていないばかりか、防衛も同じくらい下手だ」



デービッド・ブレナン


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