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日本で「外国人を見た目で判断する」ことの弊害が噴出中

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月16日 20時28分

はい、すみません。僕の話だった。まあ、「スラっと背が高くて紳士のような......」の時点でお気づきだったでしょうけど。余計な脚色はあったかもしれないけど、出来事自体は事実だ。日本にきて30年以上経つが、ホテルで在留カードの提示を求められたのはそれが最初だった。しかし、最後ではなかった。

2週間後にまた違うホテルでも同じことが起きた。しかも、もっと展開が早かった。カウンターについた瞬間、スタッフの方の開口一番の言葉は「パスポートをお願いします」だった。僕はしゃべってもいないし、名前を書いてもいない。判断材料は見た目以外なにがある? 匂いかな? 確かに僕は普段からほのかに、サーロインステーキの香りがする。

前回同様、パスポートがないことを伝えると、また「では在留カードを」と言われた。しかも、少しためらいを見せていた僕に対してスタッフの方は「どちらかを見せないとこのホテルには泊まれません」と、きっぱり警告してきた。また例の切ないながら格好いい表情をみせつつ在留カードを提示した。

ちなみに、入管法によって日本に在留する外国人は旅券または許可書(在留カード)を常時携帯しないといけないのだ。永住権のある僕でも毎日持ち歩いている。そして、警察官、入国管理や役所の方など「権限ある官憲」に提示を求められた場合、応じる義務もある。僕も職務質問(普通に道を歩いているときにされた)などで見せたことは何回かある。

しかし、在留カードは原則として当局以外の一般の方が提示を求めるものではないし、見せるものでもない。ホテルで要求されたときは、健康診断じゃないのに突然、検尿を求められたような、妙な感覚だった。

3回目にまた違うホテルで同じことがあったとき、提示を要求する理由を聞いた。そのホテルは警察にそうするように言われたと教えてくれた。そうか......と、在留カードを見せ、チェックインした。

そして、近くの交番に聞きに行ったら、やっと理由が明らかになった!

テロ対策だ。ほっ。テロリストに見えているわけね。なるほど......。納得!納得!

遅ればせながら、僕はちゃんと調べた。確かにテロへの意識が高まっていた時代に法律が改正され、2005年以降、ホテルなど宿泊施設は来日客のパスポートのコピーを取るように求められているのだ。だから(なぜか法改正から18年経ってから初めて)僕も提示を要求されているのだ。

そもそも見かけで判断するのは不可能

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