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汚染・危険・荒廃...世界の「最悪の土地」12カ所を訪れた作家が見つけたもの

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月18日 16時20分

火山の噴火によって灰の下に埋没した、カリブ海に浮かぶイギリス領の島の首都プリマス。そして砂浜が砂ではなく、かつてその海で泳いでいた魚たちの骨でできている砂漠の海、カリフォルニア州のソルトン湖である。

カリフォルニア州のソルトン湖 gabriel12-shutterstock

いわくつき映画を思い起こさせる「ゾーン・ルージュ」

本書には、著者によって多くの書籍や映画も紹介されている。そのうちの1つが『ストーカー』(アンドレイ・タルコフスキー、1979年)である。

映画完成の後に監督や主演俳優が年若く死去したといういわくつきの映画で、立ち入り禁止ゾーン内にある「部屋」に入れば望みが叶うと人々の間で信じられている。しかし、どう見てもこのゾーンは人体に重大な影響をもたらす何らかの事故が起こった後、放棄され、それを民衆には知られないよう、立ち入り禁止にされた場所に思える。そんな筋書きで、見ていて背中がゾクゾクする映画である。

著者のカル・フリンは、フランスが第一次大戦後に隔離した戦場跡地「ゾーン・ルージュ」を訪れたときにこの映画を思い出した。

化学兵器20万個が焼却された最も純粋な荒れ地

以下の3カ所は、『人間がいなくなった後の自然』の原書と邦訳から。

●A fairy-tale dell sealed behind a military-style compound. Its innocuous appearance jars with the scale of the defences surrounding it; my senses buzz with the disconcerting sense of danger camouflaged in plain sight.
(軍事用の頑丈な囲いの後ろにあるおとぎの国の小さな谷間。その無邪気な姿は、周囲に張り巡らされた防衛網の規模とは対照的だ。偽装された風景に潜む危険な気配に、私の感覚がざわめいた)

――この場所こそ戦後に化学兵器20万個が焼却され、そのために毒され不毛になった最も純粋な荒れ地である。

●He felt, he remembers now, an incredible sense of peace. Just being there felt like an immersive kind of meditation.
(今にして思えば、あの時、彼は信じられないほどの安らぎを感じていたという。そこにいるだけで、まるで瞑想に浸っているかのようだった)

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