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逃げるための時間はわずか4分! 「燃えやすく」「助かりにくい」現代の住宅...米データが示す恐ろしい現実

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月19日 20時30分

21年の住宅火災全体の死者は2840人、それでもまだ最多だった1981年の5400人を下回っていた。しかし火災件数が1980年代の70万件超から2021年は過去最低の33万8000件に減少しているにもかかわらず、死者の数は過去最低だった2012年の2380人から最近は増加に転じている。

その結果、21年の火災1000件当たりの死者数は8人を上回り、NFPAがデータをまとめた1980~2021年の42年間の中で10番目に多かった。

各州の消防当局は地元メディアで安全対策強化を訴えており、最近のデータからは死者数がさらに増加する傾向がうかがえる。

オハイオ州では22年、火災全体の死者(ほとんどが住宅火災)は156人と20年の78人の2倍に増え、死者が200人に上った06年以降では最多になったという。ミネソタ州では22年、火災関連の死者が70人と4年連続で増加し、最多記録である1995年の86人に迫ったという。

ILLUSTRATION BY CSA IMAGES/GETTY IMAGES

メリーランド州では昨年1~3月の死者数が40人近くに達し、過去最多だった04年以降では最も多くなった。これを受けてジェレイシは報道陣への書簡で安全基準遵守を呼びかけた。「この状況は非常に遺憾で心から懸念している。直ちにこの傾向を鈍化させる要がある」

NFPAの住宅火災関連死のデータには一戸建てや2世帯・3世帯などの多世帯住宅、コンドミニアム、アパート、プレハブ住宅は全て含まれるが、ホテル、モーテル、寄宿舎、下宿屋は含まれない。NFPAによれば、21年の火災全体の死者は3800人で、その4分の3が住宅火災による死者だったという。死者総数のうち山火事など屋外での火災による死者は110人で、19年の140人から減少している。

住宅火災と同様、車両火災による死者も過去最低だった09 年の260人から21年は650人と増加し、1992年(665人)以降では最も多くなった。内装にウレタンフォームなど化学製品が使われるようになっているせいだと専門家は言う。

車両火災の場合も住宅火災と同様、火災自体は減少しているのに死者は増えている。車両火災は史上最多だった1988年の45万9000件(死者数も史上最多の800人)か2013年は16万4000件(死者300人)に減少。21年は17万4000件だった。

メリーランド州の車両火災では、車のエンジンや燃料経路から出火し車内に閉じ込められた場合に死者が発生していたと、ジェレイシは言う。「今や車もプラスチック製品だらけで火の回りが速くなっている」

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