中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界がロシアを見放しつつある
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月10日 18時52分
<アメリカの対ロシア制裁が拡大、強化されるとともに、ロシアとの取引を停止する同盟国が増えてきた。この動きは今後のロシア経済に大きな影響を与えるだろう>
アメリカがウクライナに侵攻するロシアへの制裁を強化するなかで、ロシアと同盟関係にある国々も、次々とロシアを見放そうとしている。
ロシアの長年の同盟国である中国、トルコ、アラブ首長国連邦、インドなどの最近の動きを見ると、アメリカの二次制裁を恐れていることがうかがえる。
中国の多くの大手銀行は、制裁対象となっているロシアの金融機関からの支払いの受け入れを停止している。また、アルメニアとキルギスタンの銀行は、制裁によってロシア国内で扱いが止められているビザやマスターカードに代わるロシアの決済システム「ミール」を利用したカードの取り扱いを停止した。
【動画】「燃料気化爆弾」ドローンが砲弾不足のウクライナを救う? ロシア軍拠点を「木端微塵」にする衝撃の瞬間
かつてロシアの石油を最も多く購入していたインドは、ロシアのプレミアム原油の支払いを停止したと報じられている。一方、中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の銀行がアメリカからの報復を恐れているため、ロシアの石油会社は原油や燃料の売却代金の送金が最大数カ月の遅れに直面している、と27日付のロイター通信は報じている。
米財務省によれば、これらの国々は戦争中もロシアとの関係を維持しており、ロシアは現在進行中の制裁を回避するためますます頼るようになっている相手だ。
拡大する対ロ制裁
昨年12月、ジョー・バイデン大統領は、ロシアとの重要な取引を促進する外国の銀行をアメリカが直接制裁することを可能にする大統領令を発布した。米政府は、ロシアの防衛産業を支援する企業と取引を行う銀行を金融システムから遮断すると脅した。
ジャネット・イエレン財務長官は当時、「われわれは、金融機関が故意、あるいは偶然に、迂回や制裁回避を助長することのないよう、あらゆる努力を払うことを期待している」と述べた。「われわれは、この権限による新たな手段を躊躇することなく行使し、ロシアの戦争マシンへの供給を促進する金融機関に対して、断固とした行動を取る」
アメリカは、プーチンが2022年2月にウクライナ戦争を開始して以来、対ロ制裁を徐々に拡大してきた。外貨準備が凍結し、ロシアがSWIFT(国際銀行間金融通信協会)の銀行システムから締め出したことで、ロシア経済は打撃を受けた。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止や資産凍結
ロイター / 2024年11月22日 7時10分
-
ロシア、東部制圧へ攻勢=ウクライナ防戦一方―19日で侵攻1000日
時事通信 / 2024年11月18日 23時11分
-
トランプ氏「ウクライナを見放すのか支援継続か」 次期政権で対立する2グループが浮上
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 10時0分
-
バイデン米政権、省庁横断の対ロシア制裁を発表、約400の個人・事業体を金融制裁対象(SDN)に(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月31日 10時45分
-
欧州、ロシア制裁強化を検討 トランプ氏返り咲きに備え=情報筋
ロイター / 2024年10月26日 3時19分
ランキング
-
1北朝鮮に石油を大量供給か ロシア、国連制裁違反の疑い
共同通信 / 2024年11月23日 18時11分
-
2露、ウクライナに発射の中距離弾道ミサイルを「量産化」 プーチン氏、迎撃は不可能と強調
産経ニュース / 2024年11月23日 20時2分
-
3佐渡金山追悼式に不参加=生稲政務官の靖国参拝問題視か―韓国
時事通信 / 2024年11月23日 19時29分
-
4アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解けない謎
ロイター / 2024年11月24日 7時53分
-
5中国・35人死亡の車暴走事件 私たちを取り囲み、映像を消せと迫った謎の「市民」たち
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月24日 7時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください