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人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる「唯一の現実的な方法」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月16日 14時50分

首都ソウルにある産院でも新生児室には空きベッドが目立つ YONHAP NEWS/AFLO

<かつては韓国の経済成長に貢献した少子化だが、経済と社会に与えるマイナスの影響が深刻に>

今の時代、人口減と高齢化の脅威に怯える国は少なくないが、最も深刻なのは韓国だ。60年ほど前から、人類史上最速のペースで出生率の低下が続いている。

1960年当時、韓国の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供の平均数)は6.0弱だったが、2023年には0.72にまで低下した。韓国は世界で唯一、女性1人当たりの出生数が1人に満たない国だ。

筆者は過去40年にわたり、アジア各国の人口動態を詳細に調査してきた。その経験から言えば、この長期的かつ急激な出生率の低下が韓国の未来に深刻な影響をもたらすことは間違いない。経済の成長は鈍化するだろうし、遠からず今よりも貧しく、総人口も少ない国になってしまう恐れがある。

移民や移住の影響を除外した場合、一国が現状の人口を維持するには、出生率が女性1人当たり2.07人以上でなければならない。韓国の出生率は84年に前年の2.17から1.93に低下して以来、一貫してこの数値を下回っている。

韓国の出生率低下がさらに衝撃的なのは、それが比較的短い期間に起きたことだ。

「人口の配当」が成長を後押し

出生率の低下は、人口統計学者が「人口の配当」と呼ぶものを介して、特定の状況下ではプラスの効果をもたらす可能性がある。

人口の配当は、出生率の低下によって国民の年齢構成が変化し、生産年齢の人口が増え、生産労働に寄与しない年少者と高齢者の割合が減って、その国の経済が加速度的に増加することで得られる。

実際、過去の出生率低下は韓国を非常に貧しい国から非常に豊かな国へと変貌させるのに役立った。韓国の少子化が始まった60年代は、政府が計画的な経済開発に着手し、家族計画を採用して人口の調整に乗り出した時期と重なっている。

当時の韓国は朝鮮戦争の後遺症で、経済も社会も疲弊していた。実際、50年代後半の韓国は世界で最も貧しい国の1つであり、61年の時点でも国民1人当たりGNPは約82ドルにすぎなかった。

だが韓国政府が経済開発5カ年計画を導入した62年から、劇的な経済成長が始まった。

重要なのは、政府が国の出生率を下げるために積極的な家族計画を導入したことだ。そこには、既婚男女の45%に避妊の知識と手段を提供するという目標も含まれていた(当時の韓国ではほとんど避妊が行われていなかった)。

家族計画の普及は少子化に拍車をかけた。多くの夫婦が、子供を産む数を減らせば家族の生活水準が向上することを理解したからだ。

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