60年代学生運動『いちご白書』再び、ニューヨークのキャンパスが燃えている
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 11時30分
一方でコロンビアでは、学生や一部教員による学長への非難がエスカレートしています。この問題では、ハーバードを始めとする多くの大学の学長が、ワシントンDCの連邦議会で保守系議員によって「吊るし上げられる」事件がありました。つまり、「あくまで言論の自由を優先する」とした学長たちが、ユダヤ系学生を危険に晒しているとして批判され、何人かが辞任に追い込まれたのです。現在は、その反対で、警察力まで導入してしまったということで、コロンビアの学長は学内で激しい批判に晒されています。
さらに、今週4月22日の週に入ると、その前週のコロンビア大学での大量逮捕、そして22日のNYUでの大量逮捕という事態への怒りから、コネチカット州のイエール大学、マサチューセッツ州のMIT、西海岸のUCバークレーなどでも抗議行動が拡大しています。MITやUCバークレーでは、コロンビアにおける弾圧に抗議するとして、キャンパス内にテント村が登場しました。
まるで1968年のベトナム反戦運動の再来のような状況になってきました。場所も「コロンビア大学」ということで、映画にもなった『いちご白書』が記録したベトナム反戦の日々の再現とも言えます。そして、政治的な構図も似通っています。1968年には、若者が反戦運動に走る一方で、民主党は穏健なハンフリー上院議員を大統領候補にしました。そのために、失望した若者たちは棄権して、ニクソンの勝利をアシストした格好となりました。
現政権への反発はトランプの追い風に
今回も、バイデン大統領は世論を気にして迷走してはいるものの、基本的にイスラエル支持を変えません。ネタニヤフ首相に対する「民間人犠牲を止めよ」という忠告も「懇願している」ような弱々しいニュアンスが感じられ、全く相手にされず、かえって国内での威信を傷つけています。ウクライナへの軍事援助予算とセットで、イスラエルへの追加援助も実施されつつあります。ですから若者たちの間での「バイデン離れ」は深刻となりつつあります。
トランプ候補は、支持者の一部には、ユダヤ系へも差別の視線を向けそうな白人至上主義者を抱えています。ですが、基本的には、それ以上に保守派全般に根強いイスラム教徒への敵視感情を利用し続けています。ですから、ガザの一件では超イスラエル寄りです。それこそ68年の状況のように、反戦運動を反社会的だとして徹底弾圧するつもりであり、場合によっては米軍を国内のデモ鎮圧に使いたいなどと放言する始末です。
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