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再提出された「スパイ防止法案」に市民が反発...「ロシアとの関係強化」を目論むジョージア与党の狙いとは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月16日 16時30分

アメリカはジョージア国内におけるロシアの影響力拡大に関与した疑いで、イワニシビリの盟友で元検事総長のオタル・パルツハラゼを制裁対象とし、ジョージアに対してロシアの制裁回避を支援しないよう警告。その報復としてジョージア側は、米国際開発庁がジョージア国内で騒乱を組織する目的で反政府デモ参加者を訓練したと非難した。

ジョージアの政府とエリート層は、アメリカとEU内のジョージア批判派を「グローバルな戦争推進派」と非難。さらにハンガリーの独裁的なオルバン・ビクトル首相と同盟関係を結び、中国とも戦略的パートナーシップの関係を結んだことで、西側との関係はますます悪化している。

ジョージアの夢の党員らは、欧米の議員や政府高官を汚い言葉で罵る。「西側を悪者にするのが、ジョージアの夢の戦略だ」と、野党・自由運動党のギガ・ボケリア党首は指摘する。「そうしなければ、西側からの批判やEU加盟の遅れが政治的リスクをもたらしかねないからだ」

ジョージア国民は政府だけでなく、野党にも不満を抱いている。自分たちの利益を代表する政党がないと考える国民が61%に上り、72%は新しい政治の担い手を求めている。

野党が国民の支持を獲得できない一因は、イワニシビリが司法や国の財政部門、メディアを支配して反体制派を抑え付け、反自由主義が広まっていることだ。

野党も期待を裏切り続けてきた

ジョージアの監視団体は、イワニシビリが選挙で勝つために犯罪者と手を組み、治安当局を使って国民を支配していると指摘。対する野党は、スタッフの給与や事務所の賃料、横断幕の費用にも困るほどの資金不足に陥っている。政府に批判的なメディアはさまざまな圧力を受けている。

だが政府ばかりを責めることはできない。野党は長年、国民に革命や政権奪取などの壮大な約束をしてきたが、期待を裏切り続けてきた。「野党は常々、ジョージアの夢を即座に権力の座から追い落とさなくてはならないと言ってきたが、いまだに実行できていない。国民の不満と諦めを助長するだけだ」と、イリア国立大学のノディアは言う。

野党関係者の間には混乱が広がり、内輪もめや対立が起きている。彼らが助けを期待するのは、2年半以上も獄中生活を強いられているサーカシビリだ。

だが、かつてのカリスマも求心力を失っている。ポピュリズムへの転向も、政治的なご都合主義に失望している有権者の共感を得られなかった。拷問や虐待のためともいわれる健康状態の悪化も懸念されている。

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