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韓国は「移民国家」に向かうのか?

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月22日 19時22分

外国人比率でいえば韓国のほうが圧倒的に高い。2024年3月時点で在韓国外国人は約260万人であり、これは人口の5%を超える。一方、日本は2023年末で約340万人。日本は韓国の倍以上の人口をもつ国であるから、その差は歴然としている。

「労働力」から、コミュニティの一員へ

韓国のほうがすでに外国人比率は高いのに、存在感がない。おそらくその最大の理由は、韓国には永住資格をもつ外国人がとても少ないからだと思う。日本の場合は23年末基準で永住者約90万人、これに特別永住者(戦前に日本国籍を保有していた朝鮮半島や台湾出身者とその子孫)約28万人をあわせて約120万人。さらに日本国籍を取得した元外国人が60万人余りいる。

ところが韓国の場合は永住資格をもつ外国人は約18万人(2024年3月)に過ぎず、約260万人の外国人のほとんどが期限付きの在留資格しかもっていない。また「不法滞留者」(未登録外国人)は40万人を超えており、彼らの多くは発言権をもたずにいる。新型コロナのパンデミック下で、日本では外国人にも等しく配られた給付金が、韓国では国民だけに限られるなどの差別があったが、その原因はやはりコミュニティの一員として暮らす外国人が少なかったせいもあると思う。政府も自治体も簡単に無視してしまうのだ。

韓国が移民国家になるというのならば、そこで必要なのはまずは、外国人をとりあえずの「労働力」として考えるのではなく、コミュニティの一員として考えること。そのためにはさらなる法と制度の改正と同時に、人びとの意識を変えることが大切になってくる。韓国政府はすでに永住資格への道を開くための準備をしているが、国民の中にはシンガポールやドバイのような「労働力」にふりきった形でいいという意見もある。

同じ悩みをもつ日本はどうするのだろう? もはや賃金で韓国に追いつかないなら、せめて人権感覚ではリードしてほしいと思う。そこは「日本のほうがやはり先進国だ」と韓国の人も認めるところなのだから。

【動画】大卒でなければ永住資格が取れない韓国

年齢、学歴、韓国語能力、所得などを点数化し、一定の点数を超えなければ永住権の取得や居住ビザの更新ができない韓国。 SBS 뉴스 / YouTube

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