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ハーバード大学准教授が語る「メンタル危機」になる前のセルフケア...認知療法で使われる技術とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月30日 11時13分

『まいにちメンタル危機の処方箋』
 著者:内田舞
 出版社:大和書房
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自分の本当の感情に気づくための「ラジカルアクセプタンス」

──モニタリングにおいて、特に意識することが大事な点は何ですか。

モニタリングは4つのステップから成り立っています。(1)自分の感情に気づく、(2)感情を言葉にする、(3)感情の背景を分析する、(4)行動する、です。

なかでも大事なのが、「自分の感情に気づく」ステップで、湧き上がってきた感情を否定しないこと。人は怒りや嫉妬など、誰かに知られると恥ずかしい感情を否定してしまう。そして現状を正当化するために、色々な理由をつくり出してしまいます。

そんなとき、良し悪しのジャッジをせず、フラットに「こういう感情が湧き上がってきた」という事実を認識すると、本当の感情をキャッチしやすくなります。これが「ラジカルアクセプタンス」です。

「受け入れること=相手を許すこと」ではありません。誰かに知られると恥ずかしい感情を抱いてもいいんだよと、自分に許可を与えてあげる。そんなイメージなら、感情を受け入れやすくなるはずです。

モニタリングしたうえで「これは怒ったほうがいいな」と判断したら、「怒る」というアクションをとってもいいんです。感情に流されずに、その感情に気づいたうえでの行動なら、納得感をもてるし、表現方法も変わってくる。モニタリングは、ネガティブな感情をなくすための方法ではなくて、自分の本当の感情と向き合うための方法なんですよね。

小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授の内田舞氏(本人提供)

──自分の抱いている感情に気づけないときには、どう対処するとよいでしょうか。

1つは、自分の中にある感情を書き出すことです。頭の中で考えているだけだと堂々巡りになりがち。ですが、思いを書き出してみると、「こういう風に考えていたんだ」「この感情はこんな価値観につながっていたのか」などと、連想ゲームのように整理され、自己理解につながっていきます。

まずはモヤモヤを紙に書き出し、その感情に名前をつけていくと、モヤモヤの正体が見えてくる。感情は複雑なものなので言語化が難しいですが、イメージしやすい形で書き出すとよいでしょう。

2つ目の対処法は、身体の感覚を観察することです。胸が締めつけられているとか、筋肉がこわばっているとか。身体の感覚に気づくと、「いま私は、本当はつらく感じているのでは?」などと、感情に目を向けやすくなります。

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