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環境活動ラディカル派の葛藤、パイプラインを爆破しようとする『HOW TO BLOW UP』

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月13日 17時48分

ラディカル派効果は諸刃の剣

そんなショーンの発言が、もうひとつのポイントになる。先述したラディカル派効果は実は諸刃の剣であり、結果として穏健派にダメージを与えれば負の効果になり、有利に働けば正の効果になる。だから彼らは、後者を狙い、ふたりの人物を探し当てる。

そのマイケルとドウェインそれぞれのフラッシュバックでは、土台につづいて計画が具体的に示される。ノースダコタ州に住むマイケルは、掘削業者によって居留地を蹂躙されたネイティブアメリカンで、独学で爆弾作りを身につけた。テキサス州に住む労働者ドウェインは、公共利用のための政府による土地収用という名目で石油会社に先祖から受け継ぐ土地を奪われた。

地元のパイプラインを熟知するドウェインは、ソチとショーンが出した条件を満たす場所を見つけ出す。その条件とは、事故で片づけられないように標的を二か所にすることと、破壊しても石油が溢れない、大地を汚さないことだ。

ラディカル派の立場や葛藤を多面的にとらえる

本作は、この3つのフラッシュバックで計画が明確になり、必要な人手を考慮しなければ、あとは実行するだけのように見える。では、残り3つのフラッシュバックはどんな意味を持つのか。

そこには、ラディカル派効果に対するゴールドハーバー独自の解釈が盛り込まれているともいえる。ヒントになるのは、マイケルがなぜか雷管を3個用意したことや、残っているのがほとんど女性の登場人物のフラッシュバックであることで、計画を締め括るのに女性が重要な役割を果たすことになる。

ゴールドハーバーは、ラディカル派の立場や葛藤を多面的にとらえ、彼らの行動が気候運動にどんな影響を及ぼすのかを私たちに考えさせる。

(c) WildWestLLC2022
6月14日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開




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