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CO2除去ビジネスの成功に懸ける米テック大手の目利きは確かか?

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月24日 19時29分

「自然の力を使ったソリューションは誰にでも使えて、商業的にすぐに実用化可能な傾向がある」とラーセンは言う。だが一方で、数値的に評価しづらい部分もありそうだ。

18日の発表にも、自然の力を使ったCDRが盛り込まれていた。

マイクロソフトがBTGパクチュアル・ティンバーランド・インベストメント・グループと結んだ契約では、マイクロソフトが2046年までに自然の力を使った最大で800万トン分の炭素クレジットを売却するという。このクレジットは、ティンバーランド・インベストメント・グループが10億ドルを投じたラテンアメリカでの植林活動で創出された。

マイクロソフトのエネルギー市場上級ディレクターを務めるブライアン・マーズは、本誌の取材に対し、自然の力を使ったソリューションはマイクロソフトの環境目標の達成に向けた重要な要素であり、同社のCDRクレジット購入のほぼ半分を占めることになるだろうと語った。

「自然の力を使ったソリューションなくして、低炭素経済へのスムーズな移行は実現できないだろう」と彼は言う。

アルファベットやメタも出資

植林プロジェクトから送出されたカーボンクレジットの市場は、多くの企業にとってビジネスがしにくい市場だった。植林や森林保全を行うプロジェクトの中には、気候変動対策の目標に届かないと確認されたものも少なくなかった。

だが、「この分野のCDRに対するわれわれの自信は、市場が成熟するにつれて大きくなっている」とマーズは述べた。

環境NGOのコンサベーション・インターナショナル(CI)は、植林や森林の復興が、生物多様性の保護といった他の目標と齟齬を来さないよう、環境への影響に関する助言を行う予定だ。

マイクロソフトとBTGパクチュアルはいずれも、本誌の「最も信頼できる企業ランキング」にランクインしている。

ブラジルに本拠を置くBTGパクチュアルは、本誌の「世界で最も信頼できる企業ランキング」の金融サービス分野で44位だ。またマイクロソフトは「アメリカで最も信頼できる企業ランキング」のソフトウエア・通信分野で5位に入っている。

フロンティアによるCDR購入にも、自然の力を使ったものと新しい技術によるものの両方が含まれている。

フロンティアは2022年に、まだ黎明期のCDR産業のための需要創出を目的に、テック大手のアルファベットやメタ、ショッピファイ、ストライプなどから出資を受けて創業された。

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