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イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月29日 21時18分

レバノンのヒズボラからの無人機攻撃を受けて煙を上げるイスラエル北部(6月23日) REUTERS/Avi Ohayon

イアン・パーメーター(オーストラリア国立大学アラブ・イスラム研究センター)
<レバノンのイスラム教過激派勢力ヒズボラによるミサイル攻撃を受け、イスラエルはヒズボラへの攻撃の意思を明らかにしている。ガザ地区でのハマスとの戦いも続くなか、本気で二正面戦争に突入するのだろうか>

元英国首相ウィンストン・チャーチルが残した多くの名言の中に、「歴史から学ばない者は、歴史を繰り返して滅ぶ」というものがある。

イスラエルがレバノン南部で、レバノンの過激派組織ヒズボラと本格的な戦争に乗り出す準備をしている可能性があることも、まさにその例であるようにみえる。

イスラエルのカッツ外相は先ごろ、ヒズボラに対する全面戦争を決断する時が「まもなくやってくる」と述べ、イスラエル国防軍(IDF)幹部が作戦計画に署名したことを明かした。

一方、ガザ地区のハマスに対するイスラエルの戦争もまだ終わっていない。イスラエルは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が紛争開始時に掲げた2つの主要目標、すなわち、ガザにおける軍事・統治組織としてのハマスの壊滅と、ハマスが拘束している残りのイスラエル人人質(生存とみられる約80人と、死亡とみられる約40人の遺体)の解放をまだ達成していない。

The Israeli army said plans for an offensive in Lebanon were "approved and validated" amid escalating cross-border clashes with Hezbollah and a relative lull in Gaza fighting https://t.co/H0nq61Gbay pic.twitter.com/qzzFq3nDt5— AFP News Agency (@AFP) June 18, 2024

 

激怒する北部住民

イスラエルには、ヒズボラの脅威を排除したいもっともな理由がある。昨年10月8日にガザ紛争が始まって以来、ヒズボラは後ろ盾のイランから供与されたミサイルやロケット、無人機を、国境越しにイスラエル北部に撃ち込んでいる。しかもその目的は、イスラエル国防軍の注意をガザ作戦からそらせ、ハマスを支援するためだと、ヒズボラは明言している。

ヒズボラの攻撃は比較的限定的で、今のところイスラエル北部に限られている。それでも、国境付近の住民約6万人が避難を余儀なくされている。うんざりした住民は、ネタニヤフ政権にヒズボラを国境から撤退させろと要求している。

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