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ケニアで若者の怒りが爆発 反増税デモの背景「マイクロファイナンスの闇」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月2日 14時47分

略奪される社会の弱者

1990年代にマイクロファイナンスが広まり始めた当初は、少額を低金利で貸し出す仕組みだった。しかし近年は、広く利用できるマイクロクレジットの大半が、民間のフィンテック業者による短期で高金利の融資だ。

経済的に安定していない個人に融資することで負うリスクにより、貸し手は高い金利を正当化できると主張する。だが、借り手は莫大な利息が上積みされ、返済が追い付かずに破綻してもローンが残る。

これは必然的な結果ではない。ケニア政府も国際社会も、略奪的な貸し付けを取り締まる手段を持っている。適切な政策によって、マイクロファイナンスの本来の目的どおり、公正な成功の機会を与えられれば経済発展の原動力になり得る人々を保護できるはずだ。

グローバルサウスでは多くの民間のマイクロファイナンスが、イタリアの経済学者リサ・クロサトとルチア・ダッラ・ペッレグリナの言う「理不尽な高利貸し」になっている。「高利貸し契約の本質を知らない借り手に、過大な金利を課している」のだ。

ただし、ケニアの貧困者が契約の結末を理解しているとしても、選択肢はほとんどない。全額を前払いすることは不可能だ。

また、ケニアは近隣諸国に比べて金融セクターが発展しているとはいえ、多くの人にとって銀行融資は手が届かない。銀行口座を持っているのは全成人の半数、クレジットカード保有者は6%、デビットカード保有者は22%、住宅ローンを組めるのはわずか11%だ(いずれも推定)。

略奪的な融資に対し、ケニア政府が辛うじて手綱を締めたと言えるのは、22年3月にデジタル融資市場の規制を強化する新しい法律を可決したことだ。業界はケニア中央銀行の管轄下に置かれ、デジタル金融業者とその商品の認可と登録を標準化する枠組みが導入された。

正しい方向に一歩進んだのは確かだが、この法律には金利や手数料の規制がなく、略奪的なデジタル融資の抑制にはつながらなかった。高利貸しの具体的な防止策を導入できなかったのは、個人だけでなく国の中長期的成長と安定にとっても問題だ。

略奪的貸し付けの影響は懐具合を超えて、広範に及ぶ。最低限の生活もままならない状況に借り手を閉じ込め、ひいては教育、結婚、子育ての機会や健康を奪いかねない。

さらにケニア中央銀行は昨年12月、一部の金融業者が新法の抜け穴を悪用し、適切な監督を受けずに無許可で営業していると述べた。そうした業者の中には、バイク用ローンや資産担保融資を提供する大手5社も含まれていた。

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