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【日本人学校バス襲撃】経済政策からエロ話まで、規制だらけの中国で「反日」だけ違う理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月3日 11時20分

習近平政権はネット世論のコントロールを強化してきた。政権批判を押さえつけるのはもちろんだが、それだけではない。最近だと経済政策に関する発言はアカンとのことだ。

日本在住の中国人研究者から聞いたのだが、ソーシャルメディア運営企業からしばらく発言を慎むようにとのメッセージが届いたという。また、健康系インフルエンサーの規制も強化された。まあ、不安を煽り、高額サプリを売りさばく人が増えすぎたので押さえつけざるを得ないのだろう。

1~2年前はアイドルファン規制というものもあった。オーディション番組で推しを勝たせるためにファンがウン十億円単位で集金する、その金を持ち逃げする、ライバルとの抗争が勃発する......といった騒ぎが目立つようになったためだ。

今年は何を取り締まるのか? 中国共産党中央サイバー安全和情報化領導小組弁公室は毎年、旧正月明けに「今年のネット清朗キャンペーン・タスク」を発表している。

2024年はというと、AI(人工知能)を使ったフェイクニュース対策が多いが、他にも「フィギュアやアニメ・マンガの同人作品という形式でのポルノコンテンツ配布」「ネット配信でのギリギリなエロトーク」といった内容も。

だいたい、盛り上がったジャンルとコンテンツは当局が規制するというのが定番だ。規制が入ると、目立ったアカウントが凍結され、他の人々もほとぼりが冷めるまでしばらく大人しくする。

お上主導のジャンル栄枯盛衰が繰り返される中で、比較的長生きしてきたのが反日コンテンツである。

中国政府としては「外国と比べれば中国はまだまし」という印象を人民に植え付けたいと考えている。例えば、コロナ禍では米国や日本の民は塗炭の苦しみにあえいでいるとの情報を流しまくり、「隔離連発の中国のコロナ対策もしんどいけど、日本や米国よりはまだまし」と感じた中国人が多かった。

反日や反米のコンテンツは「中国はまだまし」という印象操作にもつながるし、何より批判の矛先が中国共産党に向きづらい点がメリットだ。

というわけで、「日本人学校はスパイ養成所」といったトンデモ情報やそれに伴う反日感情の高まりについて、日本政府が対応を申し入れても知らんぷりだったというわけだ。

日本からの申し入れをガン無視する際の便利な文句もある。それが「人民の感情を傷つけた」だ。中国政府としては反日を煽っていませんが、人民が怒っているので仕方がないんです、というロジックである。

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