埒が明かない学歴詐称問題...相互に関連し合い、一貫性もある「留学記録」を議論の出発点に
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月4日 12時35分
この論文はボトムズ先生の予想通り、世界中の多くの研究者の関心を集め、論文の引用数は100編を超えた。最近出版された恩師ファーリントン先生(ケンブリッジで調査法を教えていただいた)らによる『日本の犯罪』にも、この論文が引用されている。
Crime in Japan: A Psychological Perspective(Palgrave Macmillan) 筆者撮影
もっとも、筆者が大学に職を得るまでにケンブリッジ修了から7年かかった。自分の非力を感じ続けた7年だった。
それはさておき、ここまで説明してきた通り、留学すれば、たくさんの記録がついてくるはずである。しかもそれは一つ二つではなく、相互に関連性があり、一貫性もある多数の記録だ。それを知ってほしくて筆者の留学記録を公開した。生産的な議論や留学の計画には、事実を正確に知ることが有益だと考えたからだ。
こうして振り返ってみると、犯罪機会論に出会ったケンブリッジ大学が、筆者にとって犯罪学者としての出発点だったことは間違いない。にもかかわらず、30年を経ても犯罪機会論の普及は牛の歩みにも及ばない。まさに「任重くして道遠し」である。だが、それでも前を向いて進むしかない──。
※当時の様子をもっと知りたい方は、次のページの動画もご覧になっていただきたい。
ケンブリッジ大学の思い出(犯罪機会論との出会い)
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