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ロサンゼルスのギャング抗争は、警察側も非道なプロファイリング、銃撃・投獄を行っていた

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月4日 18時45分

その結果、いまロサンゼルス大都市圏の特定の郊外地域で、地元住民の最大の脅威になっているのは、ライヒ・スキンズのような人種差別主義を標榜するスキンヘッド・ギャングである。

ロサンゼルスの街並み JohnNilsson-shutterstock

警察による非道なレイシャル・プロファイリング

このように、ロサンゼルスは「ギャングの首都」の呼び名にふさわしく、ギャングの活動の広がりと、グループの多様性の両方で際立っており、ギャングによる犯罪が憂慮すべきほど常態化している。

この種の犯罪統計には不確定な部分や食い違いがあるので控えめに言えば、殺人、重暴行、レイプなどギャングによる暴力犯罪が、ロサンゼルス市だけで毎年5000件以上起きている。

さらに、こうした殺伐とした状況下で、ギャングのメンバーや罪のない一般人に対する警察のさまざまな残虐行為が発生している。なかでも特に目立つのは、〈路上暴漢に対する地域社会のリソース(CRASH)〉なるロサンゼルス市警の部隊だ。CRASHは1980年代と90年代に、多数の民間人を何らかの犯罪の犯人に仕立てて、法の名のもとに殴打、銃撃、投獄などを行って非難を浴びた。

レイシャル・プロファイリング(訳注 人種や肌の色、国籍、民族を基準に、職務質問や取り調べの対象を選ぶこと)は法執行機関の信用をさらに失墜させるのに、警察は定期的にティーンエイジャーを逮捕して、「今後の参考のために」指紋採取と写真撮影を行っている。

それ以上に不面目な行いとして、ロサンゼルス郡保安局(LASD)が長年、銃撃や暴行、セクシュアルハラスメントといった典型的なギャング行為に秘密裏に従事する「代理ギャング」と呼ばれる警官グループを雇用してきたことがある。

ここ何十年も、ギャングの活動に対処するために、新しい法律や政策がつくられ、改定されてきたが、法執行機関はいまだに解決不能に思えるジレンマに悩まされている。1970年の〈威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO法)〉は、当初イタリア系マフィアをはじめとした組織犯罪集団を対象にしていたが、のちに検事がギャング犯罪の共謀者を告発し、警備が厳重な連邦刑務所に投獄する際に適用できるようになった。

だが、厳しい罰則はギャングのメンバーだけでなく、コミュニティ全体から強い反発を呼んだ。なかでも1988年の〈路上テロリズム取締および防止法(STEP)〉がわかりやすい事例だ。

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