1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ロサンゼルスのギャング抗争は、警察側も非道なプロファイリング、銃撃・投獄を行っていた

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月4日 18時45分

この法律はギャング活動への関与を犯罪と規定するもので、犯罪がギャングと関係している場合の罰則の「強化」など、その厳しい適用は14歳という若年者が更生する可能性を制限しているとして以前から批判されてきた。

もう1つの論点は、民事の禁止命令(インジャンクション)に関するもので、これはギャングのメンバーが特定の地域に集まる権利を制限する目的で1980年代に初めて導入されたが、そのおかげで警察は職務質問ができるようになった。

当初は2人以上が集まって、5分以上路上にとどまるといった無害な行為を禁止するものだったが、それでは万人の人権侵害になるという理由で、器物破損や不法侵入、迷惑行為、脅迫、路上排泄、さらにはギャングのシンボルカラーや手ハンドサイン信号の使用など、明らかな反社会的行為を禁止する目的に修正された。

暴行のような重罪の減少など一定の成功は認められるものの、インジャンクションはいまだに議論を呼んでいる。ギャングの縄張りと境界を表す地図がオンライン上で公表され、そこに警察の注目が集中することで、当該地域のイメージが悪化する恐れが出てきた。

事実、地元のコミュニティは以前から、インジャンクションのせいで地域全体――とりわけ黒人とヒスパニックが圧倒的多数を占める地域――が汚名を着せられ、不法逮捕を含む警察の度を超した監視や嫌がらせに苦しめられていると主張している。

人権擁護団体は、警察が都市の大部分にインジャンクションを適用することを阻止し、いまはその地域で暮らしていないか、すでにギャングとは縁を切った多くの人々が、法廷でギャングのメンバーとして扱われることに異議を唱えられるようにするために戦ってきて、ようやく2020年12月に大きな進展があった。

赤ん坊まで含まれていたギャングのデータベース

さらに言えば、20世紀が終わる直前に、ギャング活動の疑いがある人物や、ギャングと接触した可能性のある人物に関する情報を集めるために、〈カルギャング〉という州全体をカバーするデータベースが開発された。

ところがそこには、メンバー間の連絡役など、ギャングに加入している証拠がほとんどないヒスパニックや黒人男性が数多く登録された。2016年に行われた州の監査では、登録時の年齢から見て、赤ん坊までリストに入れられていることが判明した。

このデータベースに登録されると、たとえ軽微な犯罪であっても、重すぎる判決を受ける可能性があった。2020年夏、ロサンゼルス市警は、地域に対する責任を果たし、信頼を高めるために、今後はこのデータベースを参照しないことを選択した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください