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解剖学者「セルライトは消せない」と断言...悪いイメージは「あのファッション誌」が原因?

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月26日 15時1分

7月25日、 株式から金、仮想通貨、ドルまで「全面高」だった米国の市場に変化が生じ、投資家はお気に入りの取引を手仕舞い始めている。ウオール街で2021年4月撮影(2024年 ロイター/Carlo Allegri)

レベッカ・シェパード(英ブリストル大学解剖学大学院上級講師) for WOMAN
<「女の敵」と見なされる皮膚の凹凸。美容業界は対策製品で大儲けしているが効果を示す科学的証拠はない。だが「目立たなくする」ための方法は案外身近なところに──>

お尻や太ももの皮膚などに生じる凸凹──いわゆるセルライトは、約9割の女性に見られるごくノーマルな皮膚の状態だ。にもかかわらず私たちの文化では、忌むべき「女性の敵」と見なされている。

昨年話題になった映画『バービー』では、主人公のバービーが太もものセルライトに気付いてパニックになる。口臭や扁平足もさることながら、こんな醜い凸凹ができたら女として終わりだ、と。

現実世界でも鏡を見てセルライトに気付いたら、多くの女性はギョッとするだろう。無理もない。モデルや女優、インフルエンサーのフォトショップで加工された「すべすべの素肌」を嫌というほど見せつけられているのだから。

セルライトは通常、皮下脂肪が多い部位にできる。たまった脂肪が結合組織を通して皮膚を押し上げ、盛り上がりを作るのだ。この状態は異常でも何でもなく、大抵は痛みもなく、無害だ。

皮膚は人体にある最大の臓器で、3つの層から成る。一番外側の層が「表皮」で、異物の侵入から体を守る最前線の防衛ラインだ。ここでは絶えず新しい細胞が生まれ、古い細胞が剝がれ落ちている。

表皮の下には「真皮」と呼ばれる堅牢な層がある。真皮には線維芽細胞があり、この細胞がコラーゲンやエラスチンなど重要なタンパク質を生産している。これらのタンパク質がみずみずしさや弾力性を生むおかげで、肌は強くしなやかな状態に保たれるのだ。

ファッション誌の影響で

一番下の層は「皮下組織」と呼ばれ、脂肪組織が豊富に含まれる。脂肪組織は非常時に備えてエネルギー源となる脂肪を蓄えるほか、寒さや衝撃など外界の影響から体を守るクッションの役目も果たす。

この三層の下に筋肉がある。筋肉から表皮まで結合組織の束が走り、その袋状の隙間に脂肪組織がたまっている。これがセルライトのもとだ。

セルライトは見た目が悪いとして目の敵にされる。その背景には、女性たちに完璧な美しさを求めさせる社会的な圧力が働いているようだ。多くの女性は滑らかな肌を手に入れるためなら、お金も時間も労力も惜しまない。

おかげで美容業界は、セルライト対策で大儲けできる。特に夏が近づくと、各社競ってクリームや美容液、錠剤やマッサージ器など、ありとあらゆる製品を売り込む。

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