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具体と抽象を意識するだけ...インプット力とアウトプット力を伸ばす思考法【頭をよくする】

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月7日 17時50分

抽象度を操作できるのが人間の能力

ここで例にした「生物」のように、ひとことで言い表せる範囲が広いほど「情報の抽象度が高い」と言い、「うちのポチ」のように指し示す範囲が狭くて明確なほど「情報の抽象度が低い」と言う。そして、人間の頭脳にはこの抽象度を操作する力が備わっている。あなたが、「イヌ」から「チワワ」や「生物」を連想できることがその証拠だ。

以上が、教科書的な「抽象化」と「具体化」の説明だが、これを完ぺきに理解する必要はない。むしろ、「なんとなく」で捉えてもらったほうがよい。本書では、この「抽象化」と「具体化」の意味を教科書よりも広げて考えていきたいからだ。

しかしなぜ、この「抽象化」と「具体化」がインプット力とアウトプット力に関係しているのだろうか?

頭のよさは人によって違うから変えることができる

私が「人それぞれ、頭のよさが違うんです」と言うと、まるで人種差別でもしているかのように、批判を受ける。しかし、よく考えてほしい。批判する人たちのほうこそ、「頭のよさは生まれつきであり、変えることができない」と決めてかかっているのではないだろうか。

そちらのほうが差別的な考え方だと思うのだが、議論が混乱する理由もわかる。「頭のよさ」についての定義がないからだ。いままで多くの心理学者や脳科学者、そして教育学者が「頭のよさ」や「思考」を定義しようとしてきたが、うまくいっていない。

たとえば、『デジタル大辞泉』で「思考」を引くとこう書いてある。「感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する知性の働き」。これではむしろわかりにくい。そこで、私は「思考」をシンプルにこう定義したい。

思考とは、具体化と抽象化の往復運動である。
頭がよい人とは、具体化と抽象化の往復運動が得意な人のことである。

◇ ◇ ◇

谷川祐基(たにかわ・ゆうき)

日本教育政策研究所代表取締役。1980年生まれ。愛知県立旭丘高校卒。東京大学農学部緑地環境学専修卒。小学校から独自の学習メソッドを構築し、塾には一切通わずに高校3年生の秋から受験勉強を始め、東京大学理科Ⅰ類に現役合格。大学卒業後、「自由な人生と十分な成果」の両立を手助けするための企業コンサルティング、学習塾のカリキュラム開発を行う。

著書に『仕事ができる 具体と抽象が、ビジネスを10割解決する。』『見えないときに、見る力。:視点が変わる打開の思考法』『賢者の勉強技術:短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方 』(共にCCCメディアハウス)がある。

『賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。』
 谷川祐基[著]
 CCCメディアハウス[刊]

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