ハリスが抱える深刻なイメージギャップ「中身は中道、イメージは左派」
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月14日 11時40分
このイメージは左派であり改革者だが、政策、特に経済と外交については常識的な中道派という「ギャップ」は、2008年の、そして2012年の選挙においてオバマが直面した問題と全く同様です。オバマは、このギャップをある意味では曖昧にすることで、イメージ選挙だけで乗り切りました。その結果として、「占拠デモ」など若者たちからの批判を浴びたし、それが結果的に2016年には左派との怨念を解消できなかったヒラリー・クリントンの落選の遠因を作ったとも言えます。
これからのハリスの1つの可能性は、自分の立ち位置を改めて検証して、「中道スタイル」を掲げて胸を張ることです。例えばガザ情勢に関しては「自分はイスラエルの生存の権利は認める。けれどもガザにおける民間人犠牲については強く懸念をしている」と何度も明確に述べています。その上で右派からは「ハマスの味方」だと罵倒され、左派からは「イスラエルへの援助を否定しない悪人」だと非難されています。ですが、ハリスはまったく「ひるむ」気配はなく、少しずつではありますが、その中道的な、そして現実を踏まえた姿勢は世論に浸透しつつあります。
同じことを経済や広範な外交問題においても主張できるか、ハリスに問われているのはこの点です。2008年のオバマの選挙からは、既に16年の年月が流れました。若者世代は完全に入れ替わり、ネットの伝播力は比較になりません。「中身は中道だがイメージは左派」というギャップを放置したままでは、選挙戦も難しくなるし、当選しても政権運営に難航するのは明らかです。
ハリスがどこかで覚醒して「自分は中道の闘士」だと自認し、強くこの点をアピールできれば、選挙戦も、当選後の政権運営も有利になると思います。ですが、現在抱えているイメージギャップを無視し続けるのであれば、思わぬ落とし穴に入り込む危険性は否定できないと思います。
【関連記事】
ウクライナに国境を侵されたロシア、「とてつもなく大きな」反撃を用意か
好発進の民主党ハリス候補、打倒トランプのカギは「格差問題」
この記事に関連するニュース
-
米大統領選の現実を見よ――その傲慢さゆえ、民主党は敗北した
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月21日 16時0分
-
アメリカのZ世代はなぜトランプ支持に流れたのか
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 14時15分
-
なぜハリスは負けたのか?【米大統領選2024を徹底分析】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月12日 17時58分
-
トランプ氏との関係構築「安倍首相に学べ」 G7で後継者の有力候補はメローニ伊首相?
産経ニュース / 2024年11月11日 11時4分
-
トランプ前大統領の圧勝とその教示
Japan In-depth / 2024年11月7日 23時21分
ランキング
-
1「ネタニヤフ氏に死刑を」 イラン最高指導者
共同通信 / 2024年11月25日 17時46分
-
2韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表に今度は無罪判決 自身が被告の裁判での偽証教唆罪に問われるも 裁判所「検察の証拠だけでは故意があったとみるのは不十分」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 16時19分
-
3中国ハッキング疑惑、米国史上最悪と上院情報委員長
ロイター / 2024年11月25日 12時1分
-
4【独自】イラン、圧力政策の回避を要求 トランプ氏に書簡、協議の意向も
共同通信 / 2024年11月25日 19時30分
-
5中国、日本側にも人的交流の努力求める 日本人の短期滞在ビザ免除再開受け
日テレNEWS NNN / 2024年11月25日 17時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください