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「ロシア支持のくせに我々の援助を受け取るな」スウェーデンのマリとの決裂に他の先進国が続かない3つの理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月14日 20時40分

スウェーデン大使の国外退去処分は、こうした外交的緊張の延長線上にあるもので、突然発生したものではない。

ウクライナが落とす影

ただし、緊張がいきなり高まった一つのきっかけは、マリが8月5日、ウクライナと断交したことだった。

マリ政府は「マリ北部の分離主義者や過激派をウクライナが軍事援助している」と批判し、「国家の主権を侵害するもの」として外交関係を断絶したのだ。

マリ北部では以前から武装組織の活動が活発だったが、7月末の戦闘ではマリ軍とロシア兵100人以上が殺害された。

これに対して、ウクライナ政府はマリ北部での軍事活動を否定し、断交の決定を"短視眼的"と批判している。

スウェーデンのフォルセル大臣による「我々から援助を受け取るな」発言は、マリによるウクライナ断交を批判するなかで出てきたものだ。

スウェーデンは長く"永世中立"を国是としてきたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてNATO加盟を申請し、今年3月7日に正式にメンバーの一員になった。

スウェーデンに続く国はあるか

「国際的に孤立していない」と強調したいロシアにとって、アフリカの重要性はこれまでになく高まっている。そのため先進国との争奪戦もエスカレートの一途を辿っている。

マリとスウェーデンの"決裂"はそうしたなかで発生した。

それではスウェーデンに続いて、アフリカに対して「ロシアと関係をもつなら援助しないぞ」という国は先進国のなかから出てくるか。

それはかなり疑問だ。そこには3つの理由がある。

第一に、ウクライナ侵攻を理由に先進国が援助を削減すれば、単にロシアのナワバリが広がりやすくなり、ひいては中国のアフリカ進出に弾みをつけかねない。

冷戦時代なら、今回のスウェーデンの対応は珍しいものでなかった。しかし、グローバル化の進んだ現代の国際関係は、冷戦時代と大きく異なる。

先進国も中ロもグローバル・サウスを取り込む必要にかられ、自由貿易の原則のもと、それぞれ同じ国にアプローチしている。複数の相手から同時に求愛されれば、求愛された側の方が発言力は強くなるのは、個人でも国家でも同じだ。

つまり、"援助する国"が"援助される国"を選べるとは限らず、むしろその逆の構図の方が強くなりやすい。

それを無視して「援助してやるんだからこっちに合わせろ」という態度をむき出しにすれば、提供金額にもよるだろうが、「援助国は別におたくだけじゃないんで」と流されても不思議ではない。

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