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NewJeansの日本進出で再認識した「生みの親」ミン・ヒジンの目利きの力

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月18日 17時30分

「日本向けの公演だから日本の曲を」となるのは普通だが、NewJeansの生みの親・育ての親であるミン・ヒジンの場合はひと味違った。韓国でここ数年盛り上がっているニュートロ(懐かしいカルチャーを今の感覚で愛でる風潮)やトロット(日本の演歌や昭和歌謡に似たジャンル)が、日本でもスポットライトが当たっているのを彼女は知っていたのだろう。だからこのタイミングで「青い珊瑚礁」を取り上げれば、大きな反響があるはず----。本人はそう確信していたように思う。
「Seikoland~武道館ライブ '83」より Sony Music (Japan) / YouTube

日本語版でも個性派クリエーターを起用

こうしたミン・ヒジンの"目利きの力"は、以前から知られている。前述の250にサウンドプロデュースを依頼したのを手始めに、The Black Skirts(コムジョンチマ)やOohyo(ウヒョ)といった個性派を積極的に制作面で取り込んできた。有名・無名を問わず独自の感性があると思った人を起用する姿勢があったからこそ、NewJeansは短期間でオンリーワンの存在になったと言えよう。

日本進出にあたっても、その方向性は変わらなかった。今回の東京ドーム公演の演出やセットリストも彼女の目利きによるものだろうし、日本デビュー曲「Supernatural」と「Right Now」のサウンドメイクも同様だと思われる。なかでも後者の「Right Now」だが、個人的には作詞に「satomoka」の名前が入っていることに「さすが、ミン・ヒジン」と思わず膝を打った。
「Right Now」は作曲FRNK / Lolo Zouaï、作詞がGigi / Lolo Zouaï / satomokaとクレジットされている。 HYBE LABELS / YouTube

NewJeansにジャストフィットする「satomoka」の作風

「satomoka」の日本語表記は「さとうもか」。2015年末にミニアルバム『ザ・ワンダフル・ボヤージュ』で正式デビューを果たした日本の女性シンガーだ。アマチュア時代から彼女のソングライティングは注目を集めており、心の奥底にある感情をチャーミングかつストレートに綴った歌詞や、凝ったコード進行にもかかわらずポップに響くサウンドなどで着実にファンを増やしていった。

とはいえ、活動開始からしばらくの間は玄人受けする存在で、知名度と人気が一気に上がったのは彼女の楽曲「melt bitter」がTikTokで頻繁に使用されるようになった2022年あたり。しかもブレイクしたと言っても、日本中の誰もが知っているレベルではない。
2022年8月さとうもかは、TikTokとSpotifyが共同でアーティストを応援するプログラム「Buzz Tracker」に選ばれ、ブレイクした。 さとうもか / YouTube

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