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コロナ後遺症ここまで分かった...「感染時は軽度」が90%以上、倦怠感から心不全まで影響は200以上

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月18日 17時15分

また、全米アカデミーズの報告書によると、コロナ後遺症は社会生活にもさまざまに影響を及ぼす。具体的には、感染後数カ月から数年にわたって身体的・認知的機能の低下を引き起こし、職場や学校への復帰や、QOL、日常生活の活動などへの悪影響が挙げられる。

米社会保障局は現在、慢性疲労や労作後倦怠感、認知障害、自律神経障害など、コロナ後遺症とされる多くの健康影響を支援給付金の対象となる障害として扱っていない。だがこれらの健康問題は、職場や学校などで社会生活を送る際、大きな影響を与えるかもしれないのだ。

感染が数年後に新たな問題を引き起こす謎の解明に向けて

さらに言えば、コロナに感染することで引き起こされる健康問題もまた、感染後何年にもわたって続くことがある。

2024年初頭に発表された大規模調査によると、ウイルス感染が軽度であった人でさえ、感染から3年目に新たな健康問題を経験していることが示された。

こうした発見は他の研究でも見られ、例えばウイルスは感染後も数カ月から数年にわたってさまざまな臓器系に潜むことや、感染が軽度であっても2~3年後まで免疫反応を示すことが示されている。これら一連の研究によって、コロナ感染がなぜ数年後に新たな健康問題を引き起こし得るのか、その謎が解明されるかもしれない。

コロナ後遺症の体への悪影響に関して、重要な進展も見られる。

アメリカとオランダで行われた2つの予備研究では、コロナ後遺症を持つ人から自己抗体(ウイルスや細菌に対してではなく、自分の体の組織や臓器に対して生成される抗体)を健康なマウスに移植すると、筋力低下や平衡感覚の悪化など、コロナ後遺症のような症状を発症することが示された。

ここから示唆されるのは、自己抗体の生成を引き起こすと考えられる免疫反応の異常がコロナ後遺症に関連している可能性があること、そしてその治療法として、自己抗体の除去が有望かもしれないということだ。

コロナは「風邪やインフルエンザと同等」ではない

ここまで見てきたように、コロナ感染にはさまざまなリスクがあり、それを裏付ける圧倒的な証拠もある。にもかかわらず、コロナはもはや人類にとって脅威ではない、というメッセージが広まっている。この主張を裏付ける実証的な証拠は存在しないが、一般認識として誤った情報が拡散している。

だがデータが示すのは、そうではない現実だ。

コロナの感染者数はインフルエンザの患者数を上回り、インフルエンザよりも入院や死亡に至る確率も高いと報告されている。それに加え、コロナは長期にわたる深刻な健康問題をも引き起こす可能性があるのだ。

コロナを単なる風邪とみなしたり、インフルエンザと同等とみなすことは、決して現実的な捉え方とは言えないだろう。

(翻訳:中川弘子)

Ziyad Al-Aly, Chief of Research and Development, VA St. Louis Health Care System. Clinical Epidemiologist, Washington University in St. Louis

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.




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