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円高進行で日本経済は再び窮地に? キャリー取引の影響を探る

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月20日 12時30分

上昇は翌7日も続き、円相場も7月末の利上げ決定以降の急騰を帳消しにする落ち着きを見せた。

これを後押ししたのが、日銀の内田真一副総裁の発言だ。内田は7日の講演で、株価や為替が急激に変動するなら、追加利上げは「慎重に考えるべき」だと語った。

ただ、この発言は、必要なら追加利上げもあり得るという、1週間前の植田の発言と矛盾するようにも見えた。

この種のコミュニケーションは、「日銀に対する信認を損ねるのではないか」と、野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは問いかける。木内に言わせれば、内田の発言は踏み込みすぎであり、日銀のメッセージ戦略には問題がある。

しかしそのメッセージは、これからの数週間で決定的に重要になる可能性が高い。なにしろほとんどのアナリストが、市場の動揺はまだ終わっていないと考えている。

木内は、今後3年で円相場は1ドル=115円台の「適正水準」に戻ると予測する。

「米経済の状況にもよるが、現在の調整局面は、まだ道半ばだ。それにより(急激な円高や株安で)危機的になったのは日本だけで、世界の市場は違った」と、木内は語る。

どうやら円キャリー取引を続ける人が安心できるのは、まだ先になるだろう。当面は、さらなる市場の動揺を覚悟する必要がありそうだ。

From Foreign Policy Magazine

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