日本にキレるロシアには大人の対応を
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月24日 15時0分
かくして極東ロシアは軍拡の構えだ。日本は北朝鮮、中国への構えを強化して、ロシアの脅威をみすみす復活させてしまったのか? いや、慌てる必要はないだろう。ロシアの極東兵力は急には増えない。
もともとソ連海軍の空母は全部、ウクライナの造船所で建造されていたし、その他の軍艦用のタービン・エンジンも全てウクライナの工場で組み立てられていた。
2014年、クリミア「併合」でウクライナとの協力関係が破壊されて以来、ロシアは自前の軍需生産能力を増強してきたものの、造船所は設備の老朽化、労働力不足、幹部の腐敗など問題だらけで、建艦計画は半分ほどしか達成できていない上、西側の制裁で電子・通信機器は不備なまま納品するありさまで、軍用機の生産も同様だ。
ただしロシアは、核ミサイルをいつでも極東に配備できるので、これに対する備えは必要だ。
「岸田後」の日本の対ロ外交はしばらくお休みになる。ことさら敵対する必要はなく、ウクライナ戦争が一区切りしたところで、関係を順次改善していけばいい。ロシアも大人。「日本は脅威」と言いつつ、片方の手では握手を求めてくるだろう。
ロシアも日本も互いを「正しく恐れる」ことだ。
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